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2006年3月26日

(書評) 中国21 Vol.19

中国21 Vol.19
特集「内モンゴルはいま 民族区域自治の素顔」

今の(内容的には3、4年前の話しになりますが)中国内モンゴルとその周辺の人々について、比較的ミクロな視点からの現地報告が多数紹介されている。
今でも遊牧ってあるの? 内モンゴルの漢化って? 民族のモザイク状態ってどうなの? といった疑問について、具体的な現状が報告されている。
内モンゴルだけ考えても広い地域であり、北のホロンバイルから西のアラシャンまで、決して同じような状況ではないとは思うが、その中の一事例としてこの様な疑問に答えてくれる報告集ともなっている。
民族、漢化、遊牧といった問題について考察する上で、参考になるものと思う。


以下に掲載文をいくつか取り上げる。

 「ソム」と「鎮」の間——内モンゴル牧畜業地域における新しい文化の生成
 高明潔
 内モンゴルのほぼ中央、シリンゴル盟にある草原地帯での事例。牧畜業の変遷と油田開発にともなって流入してきた漢族との関係などが紹介されている。
県・旗よりも下位の郷というレベルで人々がどのように暮しているのか、家畜などの数字があげられており、具体的なイメージが見えてくる。また、流入した漢族の立場や在来の人々との住み分け、それに伴う地域の変化など分かり易く纏まっている。


 南北モンゴルの間——内モンゴルとモンゴル国の生業論的比較
 尾崎孝宏
 内モンゴルのシリンゴル盟とモンゴル国のスフバートル県という、国境を挟んで向かい合う位置にある地域における牧畜・遊牧について比較したもの。人口、面積などのほか家畜の売り値まで具体的な数字が比較されている。
比較的近い地域であるにもかかわらず、人口密度などの違いなどからくる違いが大きく、牧畜の形態などにあたえている影響が面白い。また中国とモンゴルという二つの国の経済状態の違いも小さくない問題であり、二つの地域に大きな違いをもたらしている事実が興味深い。


 周辺からみる内モンゴル
 シンジルト
 青海省にあるモンゴル族自治県のここ20、30年ほどの変遷を紹介したもの。
周囲は全てチベット族の自治地域という環境にあって、北方から移住してきたという歴史を持ちながら、チベット系の言葉をなかば母語とするようになった人々。政策の変化などから、一時モンゴル語教育を取り入れたものの中断があり、近年は漢語の必要性が高まっているという、中国の多文化地域ではどこにでもありそうな話。
中国における民族政策の問題や、より大きくそもそも民族ってどういう価値があるのか? など、様々な考察の叩き台となりそうな具体例が含まれていて面白い。


 ルポルタージュ
 伝統と近代の狭間——大興安嶺オログヤ・エヴェンキ族の「移住」
 祁バイ(王偏に攵)
 内モンゴル最北東部の森でトナカイの放牧をしていた人々が、文化開発という観光開発のため、森での生活を棄てて都市近郊に移住する前後の状況を追いかけたもの。そもそも中国にトナカイ放牧で暮す人たちが居たということを知りませんでした。彼らがどのような生活をおくっていたのか、なかなか興味深い話でした。

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