« 旅の備忘録 | トップページ | 6月19日購入書籍 »

2006年6月19日

(書評)真説・智謀の一族 真田三代

新書y155
真説・智謀の一族 真田三代
三池純正著
ISBN4-86248-039-X
洋泉社 2006.6

 タイトルのとおり、真田幸隆、昌幸、信之・幸村の三代に加えて第一部でその前史を扱うなど、戦国真田氏の通史を目指したもの。中心となる昌幸に全体の5分の2を割いているほか、前史、幸隆、信之・幸村それぞれに5分の1づつを充てている配分は、とかく昌幸・幸村に話が偏りがちな真田モノの中ではバランスが取れている。前史で海野氏との関係を述べ、真田郷、小県郡、吾妻郡と真田氏との関わりを触れている点、出典の明示、取り扱いに意を用いている点、入門書としては評価してよいと思う。

 ただし、文章として無駄な言い回しが多く、ページ数のわりに内容が少なく感じられる。また、まえがきで以下のように記している。

   真田氏を論じるにあたっては、できるだけ確かな
  資料を使うようにしたが、細かな実績については確
  かな資料には限界があり、江戸時代に著された伝説
  ・伝承を中心とした文献資料なども使用した(以下略)

たしかにそういう事情があると思うが、昨今は江戸期の軍記モノが否定的に扱われることが多いこと。本文中で確かとされる文献をもとにした部分と、伝説・伝承をもとにした部分について、出典を明らかにはしているものの、文章的には混然としていてその違いがわかりづらいことなどの点で、入門書以上の評価はできない。ただ、幸隆と海野棟綱とはどういう関係にあったのかという点について、出典をひととおり紹介している所はよく書かれていが、もう一歩踏み込んでそれぞれの説の優劣を論じてほしかった。

 また、上記真田三代4人のほか、昌幸の兄信綱、昌輝については最小限触れているものの、それ以外の人物については名前が散見されるものの解説はほとんどない。水増し気味の文章を削って、真田氏をとりまく人々の話がもう少しあっても良かったと思う。

 この手の本としては、忍者、修験者という言葉の使用が多い。真田氏との繋がりは想定し得るのはわかるが多用は不要と思う。

 自分にとっては、ときどきかじり読みする程度の範囲なので、真田氏前史の部分など、知らなかった話がいくつかあるものの、期待していた上州進出の部分では、具体的な話に乏しかった。270ページという分量のわりには内容が軽く、箸休めにさっと読むことができた。読み易い入門書、それ以上でも以下でもないと思う。

|

« 旅の備忘録 | トップページ | 6月19日購入書籍 »

日本史」カテゴリの記事

書評」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/162739/10583755

この記事へのトラックバック一覧です: (書評)真説・智謀の一族 真田三代:

« 旅の備忘録 | トップページ | 6月19日購入書籍 »