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2006年11月13日

(書評)昆虫---驚異の微小脳

中公新書 1860
昆虫---驚異の微小脳
水波誠著
ISBN4-12-101860-5
中央公論新社 2006.8

 昆虫を扱った本を読むのは、記憶がある限り初めて。昆虫の本といってもファーブル昆虫記のように生態を扱ったものではない。タイトルにあるとおり昆虫の脳のことが中心になっている。

 本書によると、ヒトの脳には1000億の神経細胞があり、昆虫はその10万分の1以下、100万ほどであるという。小さいことは小さいのだが、それでも針先程しかない脳に100万からの神経細胞が集まっているというだけでも、なかなか興味深い話だ。

 本書は11章よりなるが、3〜10章は以下の各内容について、研究成果から具体的な働きを脳を中心について説明している。

 3 複眼は昆虫の何をものがたるか
 4 単眼はどんな働きをしているか
 5 空を飛ぶしくみ
 6 匂いを感じるしくみ
 7 キノコ体は景色の記憶に関わる
 8 匂いの学習と記憶
 9 ミツバチのダンス
 10 ハチやアリの帰巣と偏光コンパス

 複眼や神経系といった昆虫の身体についてやダンス、帰巣といった行動の話は高校の生物で勉強した記憶が残っている。キノコ体というのはこの本で初めて教わったが、昆虫の脳の中でも特に重要な部分であるらしい。

 それにしても凄い話と思うのは、大きさ1mmに満たない脳について、研究によってはかなり具体的にミクロな構造が解明されているという点。
眼から入った情報がどの神経細胞を伝わって行くのか、記憶にどこが関わり学習したことがどういう結果につながるのか、といった具合。

 このような内容なので、本書は昆虫についてとはいえかなり専門的な範囲を扱っている。また、ごく直近の研究成果も取り上げており最先端の話でもある。

 ただし、脳そのものの話に限定しいるのではなく、昆虫の行動との関係から説いているので、決して理解不能な世界というわけではない。その点筆者が前書きで述べているように、平易で分りやすいように解説する努力がみられる。内容的に避けられない専門用語があり、捉え難い部分があるのはやむを得ないと思う。

 昆虫の行動について、解剖学的、あるいは生理学的な解明がどの程度進んでいるのか、最先端の世界を垣間見ることができるという点、日頃自分にとって触れることのない世界のことでもあり、十分に面白い一冊だった。機会があれば類書を少しあたってみたいと思う。

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