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2006年12月14日

中近東文化センター

 東京遠征の目的の二つ目。12月3日は東京、三鷹にある中近東文化センターに行ってきた。三鷹駅からバスで15分ほど、緑の多い郊外に静かに建っているというイメージ。

 特別展「古代ユーラシアの青銅器」については、馬頭さんが詳しくレポートされているので、その他で記憶に残っている点をいくつか。

 まず、関大上杉彰紀氏の特別講座「南アジアの青銅器時代」について。青銅器時代とタイトルにあるものの、10日あまり過ぎて思い出しての印象でいえば、インダス文明の形成からその衰退までを、周辺地域の状況を交えながら解説された後半部分のほうがよく覚えている。少し前に読んだ『漢代以前のシルクロード』の内容と被る部分があるからだ。

 ラピスラズリを鍵とした前4000年紀から3000年紀、メソポタミアからインダスにかけての地域の動向、あるいはインド洋、ペルシャ湾を通じての交易。大変にダイナミックで興味深い話。この時代の西南アジアのこととして、バクトリア・マルギアナ、ヘルマンド、イラン南東部、エラム、ペルシャ湾岸、クッリといった文化(文明)が紹介されている。『漢代以前のシルクロード』と重なるものもあり、異なるものもある。用語が統一されていないということであるならば、この分野が今発展途上ということなのだろう。興味深い話であり、やはり機会をみて踏み込んでみたい。

 講座では、インダスの後にガンジス川流域などに拡がって行くことが解説された。その中で青銅器について触れられるのは自分にとっては新鮮な話題だった。

 ところで、インダス文明というと衰退、滅亡という話が伴う。当然ながら文明を担った人々が死に絶えたわけではなく、教科書的にはガンジス、デカン方面へ移動していったとされる。文明を持つに至った人々が、気候変動とともに非文明になって拡散していった。まったく言葉使いの問題なのだが、「文明」という言葉にはどうしても違和感が残る。


 時間が残ったので、常設展もひと通り回ってみた。中近東というテーマに絞って歴史文化が解説されているという空間が、自分にとってはなにより心地良い。複製が多いとはいえ、さまざまな文字資料が展示されているのも良い。ぼーっと眺めていたら、楔形文字にのめり込んだ人のことを思い出した。

 また、地域柄、東西の様々な陶磁器が展示されている。中近東の陶磁器と言って、イスタンブール収蔵とかの多彩な皿や壺ではなく、ラスター彩陶が思い浮かぶのは漫画の影響。あらためてラスターものの陶器を眺めたのは、今回が初めて。微妙な色合いの興味深い品が幾つか並んでいた。それほど深くなくて良いのだが、ラスターについての解説がもう少しあったら面白い。

 思わず微笑んでしまったのだが、ひとつの窓に中近東らしい格子がはめてあった。とくに解説はなかったように思うが、天気の良い日中にでもその前でのんびりするのも悪くない。


 実は、東京に住んでいたこともあるのに、中近東文化センターの存在自体知らなかった。今回蒸しぱんさんに誘われたおかげで面白いものを見ることができた。決して大きな施設ではないのだが、機会があったらまた尋ねてみたい。


<追記>
 某勉強会会長さんから、オロンスム文書シンポジウムの際のレジメのコピーを一式頂戴しました。ありがとうございます。改めてぱらぱらと眺めてみると、草原関係の話題満載で聞きにいけなかったのが全く残念でならない。

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» 企画展「古代ユーラシアの青銅器」を見てきました。中近東文化センター。講演会は「南アジアの青銅器時代」 [クワルナフ・ブログ]
この前の日曜日に「貂主の国」の蒸しパンさんのとこのイベントに乗っかって三鷹にある中近東文化センターに行ってまいりました。蒸しパンさんの他には「突厥が好き」の雪豹さんと「西夏史への招待」の武藤臼さんが参加。私めは中近東文化センター行くのは初。 現在、企画..... [続きを読む]

受信: 2006年12月15日 00時53分

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