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2007年1月 2日

青海チベット鉄道

青海チベット鉄道
〜世界の屋根2000キロをゆく

 今夜、NHKで9時から1時間半に亘って放送されたこの番組を見た。企画的な面では、予想通りに政治的な色一切抜きのほぼ純粋な鉄道紀行だった。1時間半という短くない時間、退屈することは無かったし有効な情報が多かった。なによりも行ってみたいという気がかなりする。紀行ものではやはりこの点が一番大切だと思う。

 ごつい顔の機関車だと思ったらアメリカ製、客車はカナダ製とか。いずれもこの路線専用とはいえ、エアコンは無く、床はゴミだらけといった時代を思い出すと、隔世の感があるほど奇麗になった。列車が出発する時に乗客が先を争って走って行くというナレーションがあったが、以前の乗車風景はそれは壮絶な争いのようなもので、今夜の映像はのんびり歩いているようにしか見えなかった。人やモノに中国が確実に豊かになっているというのが見てとれる。列車に乗ることを目的にした乗客がかなり見られることもその現れと思う。5年、10年という短い時間で大きな変貌を遂げて行く成長途上の今の中国の姿だ。

 有効な情報という点で興味深かったのが、列車の運行ダイヤ。タングラ峠前後の景色を楽しませるために、下りはゴルムドを朝出て、ラサに夜着くとのこと。先日買って来た2006年10月版の時刻表によれば、中国各地からラサを目指す4本の列車は、いずれも朝4時から7時にかけてゴルムドを出るようになっている(中国では全国が一律北京時間なので、実際の太陽時間を基準にするとゴルムドやラサは北京時間と2時間近い時差がある。ゴルムドの朝4時はどちらかというと深夜になる)。同様に上りの列車は、早朝8時から30分毎に次々とラサを出発するダイヤになっている。


 チベットという点で気になるのは、実際に現地で暮している人にとってどうなのかという点だ。ただ、この番組でそういう話が出て来ないというのは予想の範囲内で、現地のチベット人が風景としてしか登場しないという徹底ぶりにも驚きはしない。純粋な鉄道紀行として面白かったので、この番組自体はこれで良しとしておく。

 ただ、間違いなく今後の5年でラサやチベットは、良い意味でも悪い意味でも更に大きな変貌を遂げて行くことと思う。その意味では、10年前にサラまで行ける可能性があったのに、日程や旅程の都合で行かなかったことが少し悔やまれる。現在進行形という意味で、この前後10年、20年という時代の中でラサとい街は、中国の中でも特別に大きな変化を遂げる街となることは、まず間違いないだろう。

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コメント

コメントありがとうございます。そうでしたね。チベットは塩湖が多くて岩塩を山から切り出して売りに行く人たちをテレビで見たことがありました。すっかり忘れていました。さすがに詳しいですね。今後もよろしくお願い致します。

投稿: 50代オヤジ | 2007年1月 3日 13時00分

50代オヤジさんこんにちは

こちらこそ、よろしくお願いします。

投稿: 武藤 臼 | 2007年1月 3日 15時53分

98年にラサに行ったときには既にインターネットカフェができていて、
ショックを受けつつもメールを出した覚えがあります。
これから先、ますますチベット人は”風景”としての立場にはめ込まれていくのだろうなぁと見てて思いました>NHK

投稿: 蒸しぱん | 2007年1月 4日 10時43分

蒸しぱんさんこんにちは

蒸しぱんさんがチベットに行かれた98年と自分が中国に行った95年の大きな違いがネットカフェですね。95年のときにあったら随分と違う旅だったろうなと思います。
ラサの変化を聞くたびに早く行っとかないととか思うんだけど、モンゴルもまだ行ってないしどうしたものか・・・

投稿: 武藤 臼 | 2007年1月 4日 12時19分

だいぶ遅れて、録画を観賞しました。
チベット語の翻訳・字幕担当者と一緒に観たので、番組制作の裏事情?もわかって楽しかったです。

青蔵鉄道の横を、五体投地しながらラサを目指す、田舎のチベット人がいましたよね?
インタヴューアーが「あの鉄道をどう思うか?」と問い、田舎の若者は「よく、わかりません」と答えます。
実はこの返答、深い省察によるものではなく、インタヴューアーのチベット語がラサ方言で質問したため、アムド方言の話者には「質問がよくわかりません」である可能性もある、と監修者談(笑)

投稿: 某勉強会会長 | 2007年1月28日 21時47分

会長さんこんばんわ

この手の番組見てても通訳の人ってほとんど出て来ないし、番組によってはレポーターが日本語で話し掛けて、現地の人が自分の言葉で返して会話が成立しているように見せてたりします。実際どうなのという話は聞いてみたいですね。

昔のシルクロードシリーズとかだと、日本語→漢語→現地語のような二段階の通訳が良く見られましたが、今もそうなんでしょうか。

この話自体も面白いです。チベット語の方言差って多きいんでしょうか。

次ぎの宴会の機会には是非監修者様御同道で(笑)

投稿: 武藤 臼 | 2007年1月29日 00時56分

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サブタイトル「世界の屋根2000キロを行く」。NJ2型の機関車が、チベットのラサまで26時間半かけて高地を走り抜ける鉄道の旅を丁寧にカメラに収めた労作だった。まずは崑崙山脈越え。凍土を保つために冷却装置がついたトンネルを作った。それまでの道のりは「熱棒」と説明し... [続きを読む]

受信: 2007年1月 3日 10時48分

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