« 1月8日購入書籍 | トップページ | 1月12日購入書籍 »

2007年1月 9日

(書評)紫禁城の栄光

講談社学術文庫1784
紫禁城の栄光
明・清全史
岡田 英弘・神田 信夫・松村 潤 著
ISBN978-4-06-59784-6
講談社 2006.10


 本書は、明の建国から19世紀初頭、反乱が頻発するようになった清末期までの歴史を解説したもの。もともと大世界史というシリーズの一書として1968年に文藝春秋から出版されたもので、昨秋文庫として再刊された。

 明・清全史とあるので、中国史の一時代を区切った断代史といえなくもないが、読後感としては特定の王朝の歴史というものではない。タイトルにある紫禁城、つまり北京を中心とした14世紀から19世紀にいたる東アジアの歴史といったところ。中国だけでなく、要所でモンゴルやチベット、中央アジア、朝鮮、日本についても触れている。その点で中国ばかりでなく、その都度の周辺を含めた状況の中で歴史がどう動いて行ったのかがイメージし易く書かれている。

 内容的には、40年近い前に書かれたという古さはあまり感じない。岡田氏がティームールについて、明記したうえで書き直した所が一か所あるが、それ以外の部分は基本的に原書ままということか。現在の国家領域としての『中国』と、主に漢族が活動してきた領域としての『シナ』を書き分けていることが特徴の一つである。

 古さを感じないということの一つに、原書の時点で既に斬新な見方で書かれているということがあると思う。三人の筆者が章単位で分担していて目次後にそれが付記されているのだが、それを見なくても読んでいくと誰が書いたのかが大凡分かる。つまり著者の立ち位置の違いが文章に現れていて、それを考えながら読むのも面白い。


 本書は500年近い歴史を纏めたもので、内容はわりと濃いといっていい。それでいながら読み易く、要点を流れに沿ってうまく纏めていてイメージし易くできている。また時間を経たものの再刊でありながら斬新な視点を含んでいて、面白く読むこともできる。

 強いていえば長江を揚子江と書いてあるところに少し時代を感じる。また、チベットの部分の書き方でチベットがやや矮小に見えてしまう感じが残ったが、今の時代から読み返すからこそといえるかもしれない。

|

« 1月8日購入書籍 | トップページ | 1月12日購入書籍 »

中央ユーラシア史」カテゴリの記事

書評」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/162739/13413263

この記事へのトラックバック一覧です: (書評)紫禁城の栄光:

« 1月8日購入書籍 | トップページ | 1月12日購入書籍 »