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2007年1月22日

(書評)みちのくの鷹 津軽為信一代記

津軽太平記
みちのくの鷹 津軽為信一代記
獏不次男 著
ISBN978-4-309-01740-2
河出書房新社 2005.12

 書題のとおり津軽藩初代津軽為信の生涯を題材とした小説。大浦為則の婿養子となった18歳の頃から、死後に息子の津軽信枚によって弘前城が完成するまでを描いている。

 18歳から始まっているのは、それ以前、主に出自について諸説分かれていてはっきりしないらかもしれない。本書自体は大浦氏を奥州藤原氏の子孫とし、為信が為則の甥という説を採っている。

 本書の特徴として、時間系列にそって比較的満遍なく描くという形をとらず、特定の事件の前後を集中的に取り上げ、間を概要だけで飛ばして次の事件を取り上げるという形になっている。全部で8章よりなるが、津軽統一戦初期、豊臣政権への臣従、関ヶ原の戦い、弘前築城と継嗣問題の4つの話にまとまる。また、純粋な物語りではなく随所に筆者による解釈、解説が折り込まれている。

 ストーリー的には、津軽為信と股肱の臣、沼田面松斎との話を中心にして流れて行く。人物設定としては、津軽統一という夢に邁進する英雄といった感じかと思うが、解説部分が多々折り込まれる分あまり入り込めないので見えて来ない。津軽為信の生涯自体が多くの謎を今もって含んでいるので、設定に対する評価は読む人の思いによって大きく別れるのではないかと思う。

 自分的には、津軽為信といえばいかにして津軽を統一したのかという所が興味の中心で、その部分が全体の4分の1だったので拍子抜けしたというところ。津軽統一だけで面白い小説になるのではないかと思うのだが、誰か書いてくれないだろうか。

 新聞連載という形のためなのか、読み応えにはやや欠ける。弘前出身の著者に、津軽為信の生涯、あるいは弘前の始まりを形にしておきたかったという意図があったのではないかと思う。津軽為信を紹介した一般書があまり無い中では貴重な一冊であり、とくに為信配下で活躍した人々の名前が多数上げられていて、少しイメージができた。今年か来年か、まだ訪れたことのない弘前を中心に、津軽の城跡を回るという旅行プランを考え始めている。また、ほぼ忘却の彼方となった「奥羽・津軽一族(新人物往来社)」を読み返すというのも面白いかもしれない。

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