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2007年5月18日

(書評)中・ロ国境の旅

ユーラシア・ブックレットNo.51
中・ロ国境の旅
「4000キロ」の舞台裏
岩下明裕著
ISBN 4-88595-461-4
東洋書店 2003.10

 著者は、ロシア外交を専門とするとのこと。本書は中国ロシア関係研究の一環として、1994年から10年あまりをかけて行われた中国・ロシア国境の実踏調査の成果にもとにしたもの。

 その成果をまとめたのが以下の本。

角川選書 351
中・ロ国境4000キロ
岩下明裕 著
ISBN978-04-703351-1
2003.3

 

 「はじめに」によれば、本書はこの本で書けなかったことを主観を中心にまとめたものとのこと。中・朝・ロ国境地帯から中・モ・ロ国境地帯までのおよそ4000kmを中国、ロシアの両側から訪れ、できるだけ多くの国境地帯に立ち、実態を観察しようという意欲はなみなみならないものがあったことが伝わってくる。それには、現地にたどり着くまでに事前手配の困難を乗り越え、悪路を乗り越え、その先に検問所が立ちはだかるという厳しいものであった。そのため国境線に沿って4000kmを全て踏破したというものではないようだが、それでも簡単には立ち入り難い場所を多く訪れていて大変興味深い。

 90年頃までに比べれば、中国国内での旅行事情は大幅に改善されているとはいえ、このような企画を実行された人がいるということがまず驚き。ロシアの旅行事情はあまり良い話を聞かなかったものだが、本書を読む限り当時かなり苦労されていたようだ。ロシアに比べてまだ中国の方が事情が良いという印象だが、一つには90年代半ば以降というのが大きいように思う。必ずしも正確な情報ではないが、中国で高速道路の建設が始まったのが90年ころで、90年を超えてから全国的に本格的に建設が行われるようになったと記憶している。本書でも、中国東北部の最奥の国境地帯でも場所によって高速道路が利用されている。これは、自分が中国を旅行した90年と95年の大きな違いのひとつでもあった。

 国境地帯という日本にいてあまり経験できない話としても面白い。また、中国ロシア間の国境問題というと、ハバロフスク近郊の川中島のことを教科書的に知っている程度だった。歴史的に興味のある地域の現在という視点でも興味深いので、選書の方も読んでみようと思い早速購入してきた。

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