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2007年5月16日

(書評)新聞社---破綻したビジネスモデル---

新潮新書 205
新聞社
破綻したビジネスモデル
河内孝 著
ISBN978-4-10-610205-9
新潮社 2007.3

 筆者は、毎日新聞の元記者で外信部長、編集局次長、本社副代表などを経て常務取締役を勤めた。自身勤めた毎日新聞を中心に、新聞業界全体について経営という側面を中心に現状への批判を纏めた本。

 大まかな数字ではあるものの、新聞社の収入が新聞の売り上げの他に広告が多きな割合を占めていること、売り上げの4割程度が販売店の取り分で、販売店でも広告収入が3、4割を占めているなど、興味深い数字を紹介している。また、新聞は今でも部数至上主義だとして痛烈に批判している。

 第3章では、新聞社とテレビ局との系列的繋がりについてマスメディア集中排除原則に反するものとして、その成り立ちから現状までを批判的に解説している。新聞社とテレビ局との間にはっきりと系列関係があることは日常的に分かることだが、こういう形で批判した文章は読んだことがなかったので新鮮ではある。一般論として重要な問題だとは思うが、インターネットの役割が向上すれば結果として解消され得るのではないかと思っている。楽観的に過ぎるとは思うのだが、テレビ番組が全てバラエティーになっても今より不便にならない気がするのでそう考えざるを得ない。

 第4章では、毎日新聞の再生という意味も含めて、読売、朝日に対抗できる第3の勢力として中日、産経との提携案をあげている。外国に比べて日本はかなり寡占状態とのことで解消は必要であると思う。また、情報発信を専業に行う事業体として、今後も複数の会社が健全に存続することも是非とも必要なこと。ただそれが新聞業界の再編ではなく、別の新しい組織でも良いのではと思う(といってオーマイニュースの類が簡単に第三勢力になれるわけでもなさそうだが)。

 第5章は、インターネットの可能性についての話。ニュースのネット配信などの展開がなされているものの、事業規模は最大でも200億円レベルで、毎日、産経でも1000億円以上の売り上げがあり、新しいビジネスモデルはまだ確立されていないという評価のようだ。それに対して少量多ジャンルニュースのネット配信、Eペーパーの利用の可能性といったことに期待を寄せている。


 全体の感想として、自分の知らない世界のことなので興味深い一冊であることは確か。ただ、自分とは感覚が違うなということが多い。第3章、4章でのズレは上に書いたような点があり、以下の部分は特に大きなズレを感じた。

 記事には事件や出来事を伝えるものと、それを掘り下げる解説とがあります。今日、新聞に求められているのは、言うまでもなく後者。(181頁)
 自分が、情報発信を専業にする組織として新聞にまず期待しているのは前者。(このズレはテレビのニュースにも当てはまり、最近のニュース番組自分にはあまり役にたたない。)まずしっかりと事実を調べて日々のニュースを丹念に配信すること、解説の前にまず事実を漏れなく伝えることに徹して欲しい。多量な情報の中から必要なものを自分で選べるようになった今、どのニュースを配信するかを配信側が考える必要はあまりないと思うが。

 ニュースの解説はどうかというと、単体のニュースに絞れば誰にでもできるといのがひとつの答え。実際に時事解説系の面白いブログはいくらでもある。わざわざ新聞社のサイトにアクセスしなくても、ブログのRSS機能で自動的に集めてきたものの中から面白いものを選んで読めばいい。それだけで一日に読める量をオーバーしてしまう。新聞社でも書いた人単位で配信し、一般のブログと同じ土俵で勝負してもらえれば、定期巡回先に登録することはあると思う。


 おまけとして、ここ6年ほとんど新聞を買っていない自分が、どんな新聞にならお金を払っても良いかということ。日々インターネット上でニュースを読むのに使っているのはRSS機能とGoogleニュースの2つ。RSS機能を持ったニュースサイトは限られているので、一日に何度か自分用にカスタマイズしたGoogleニュースを一通り巡回している。自分ならその際に選択した記事を読んだ対価に、月額1000円か2000円を上限に記事単位でお金を払っても良いと思っている(1回1円とか)。新聞社のサイトがジャンル別にRSSを搭載してくれれば、早速にも巡回先に指定するのだが。

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