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2007年5月 7日

(書評)戦国 三好一族

MC新書 014
戦国 三好一族
天下に号令した戦国大名
今谷明 著
ISBN978-4-9784862481351
洋泉社 2007.4

 本書は、徳島県の山間部に本拠を持っていた三好氏が、応仁の乱以後、主家の細川氏に内訌が続く中で畿内へ進出し、一時は将軍をも凌ぐ実力を持つに至ったがやがて衰退、織田信長によって滅ぼされたという歴史を描いている。15世紀の終わり頃から活躍した三好之長、その孫元長、元長の子長慶の三代の話となっているが、中でも将軍を追放して5年に渡って畿内の実権を掌握した長慶が中心で、本文の半分が割かれている。

 また、本書は1985年に新人物往来社から○○一族シリーズの一冊として出版されたもで、既に絶版になっていたものの人気が高く再刊になったものとのこと。あとがきに「手直しすべき箇所は多いのであるが・・・明白な誤りを除き修正の手はつけないことにした。」とあり、この間市町村合併によって大きく変わった現代の地名に全面的に修正が加えられているが、内容の変更はないものと思われる。

 一族シリーズの一書としてみた場合、歴代の資料を地道に積み上げるものが多い中で、本書は一次資料に立脚しながらその解釈、解説に字数を割き、単なる解説書以上の面白い内容になっていると思う。ともすると織田信長に負ける役割を演じた者というイメージを持ってしまうのだが、ただの前座ではないという。将軍を追放した上での権力の掌握や有力武将を配しての分国支配、畿内に根強く残っていた荘園制の解体など、先駆者としての役割は小さくないという。これらは、自分に長慶のイメージの変更を迫るものとなる。

 その他の点では、弟の長頼の方が活躍したとして松永久秀のイメージが過剰であるという指摘。独立自治の都市といわれる堺について、その交易都市としての興隆と三好氏との深い関係なども興味深い話だった。


 上に書いた様にあとがきに「手直しすべき箇所」と書き残していて、筆者的に本書は不十分であるという。どのような手直しが必要になっているのか興味を惹く。筆者は室町、戦国期の中央政権を中心とした一般書を何冊か出されているので、機会があれば当ってみたいと思う。また、本書のおかげで畿内の戦国時代のイメージが膨らんだ。今後山城歩きをする上での楽しみが増えたことになる。

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