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2007年7月21日

歴史読本 2007年8月号(雑感)

歴史読本 2007年8月号
書き換えられた戦国合戦の謎
雑誌09617-8
審人物往来社 2007.8

 特集記事をひととおり読み終えた。織田信長、豊臣秀吉を含む戦国武将15人についての最近の研究動向についての特集で、概要と特定の事件についてのやや詳しい解説からなり、各武将について10ページ前後に纏められている。ページ数からいってそれほど深さの期待できない分量だが、空いた時間に拾い読みするには適量だった。以下、とくに興味深かった記事について感想を簡単に。


 最上義光というと、大河ドラマ「独眼竜政宗」で原田芳雄が演じた老獪な陰謀家のイメージを持っている。新人物往来社の『斯波・最上一族』『戦国人物辞典』などもその様な書き方がされているので、定説と思っていたし実際そういう評価だったようだ。しかしこのイメージはあまり信頼できない資料に基づく虚像であるとのこと。これは、本誌の情報の中でも特に意外な情報だった。

 長宗我部元親は、天正13年に四国を統一したとされていた。しかしこれが怪しいとのこと。少なくとも、伊予、阿波、讃岐とも最後まで敵対勢力が残っていて、完全な統一はなかったという。これも意外な話。

 龍造寺隆信は、1570年に大友氏の大軍に佐賀を包囲されたが奇襲によって撃退し、これ以後北部九州に覇を称えることになったといろんな本で解説されてきた。これは、大友の敗戦は局地的で隆信の自立がなったわけでもなく、隆信が大友から自立したのは1578年以降のことという。隆信勢力の強大化というのは九州三国志の見所のひとつであり、この流れだと随分と話やイメージが変わってしまう。

 織田信長についての解説は、桶狭間の戦いと長篠の戦いの2つ。新しい説が出てはそれが否定されていくという状態が長らく続いているように思うが、それは今も現在進行形ということ。新しいところでは、桶狭間の戦いで今川方が略奪に勤しんで油断したというもの。7月11日にNHKで取り上げられたが、この説への批判などは桐野さんのブログを参照されたい。


 これらの特集以外に本号の面白かったところがあと2点。ひとつが『甲陽軍鑑』についての解説。従来あまり芳しくなかった評価が見直されているという話はどこかで聞いたが、その要点が纏められている。

 もうひとつが別冊の『「信長記」の大研究』。資料としての信長(公)記がどういうものであるのか、140頁の小冊子に纏められている。信長フリークとはいえ、一次資料はおろか二次資料にも手を出す余裕はないので大変有り難い一冊。

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