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2007年8月28日

(書評)信長と消えた家臣たち

信長と消えた家臣たち
失脚・粛清・謀反
谷口克広 著
ISBN978-4-12-101907-3
2007.7

 消えた家臣をテーマに信長政権下で働いた人々を取り上げたもの。主に戦死してしまった人を扱った挫折、直接間接に信長の命令で粛清された人を扱った粛清、なんらかの形で信長に反逆したという人を扱った反逆の3部構成。信長、明智光秀を含め100人以上の消えていった人々が紹介されている。本文260頁余りに消えなかった人も含めて 400人以上の人々が登場しており、テーマ切りにした織田信長に関わる人物事典的な読み物である。

 粛清に登場する佐久間信盛、林秀貞、反逆の松永久秀、荒木村重あたりは定番といったところだが、その他の登場人物を自分の主観で分類すると以下のようになる。

 時々どこかで取り上げられるし、自分にも馴染みの人物
  森可成(挫折)、南伊勢の北畠一族(粛清)、波多野秀治(反逆)

 あまり知られていなさそうだが、自分には馴染みの人物
  塙直政、梁田広正(挫折)、磯野員昌、安藤守就(粛清)

 名前は聞いたことがあるが、経歴はよく知らない
  中川重政、万見重元(挫折)、堀秀村、丹羽氏勝(粛清)、山口教継(反逆)

 自分にはほとんど記憶にない
  林新次郎(挫折)、津田一安、林員清、寺崎盛永、石黒成綱(粛清)

 目新しいという意味で面白いのが第2部粛清の中の4、5、7章。他の解説本や小説、ゲームなどでもあまり目にした記憶のない名前が多く登場する。また、10章で松平信康の事件を紹介しているが、明確に信長関与を否定したものは久しぶりに目にした(自分が目にしていないだけかも)。この点は評価しておきたい。

 一方で、本書は冒頭からいきなり粛清の血なまぐさい話で始まる。分量的に挫折、粛清、反逆はほぼ同じくらいだが、インパクトや登場人物の多さなど読後感として粛清の部分がかなり強く残った。ある程度は事実なのだろうとは思うのだが、織田信長は気まぐれで怖い人というイメージが内容以上に強く残るように思う。戦国時代一般論としてどうかという比較はまったく無く、その点で一方的でバランスを欠くように思うので本書に対する総合評価は保留としておく。

 あとがきに中川重政、塙直政、梁田広正、津田一安の4人を並べ、4人とも知っている人は信長の家臣についての「通」であるとのこと。残念ながら津田一安を知らない自分は、通ではないことが暴露されてしまった(笑)


 目次は以下のとおりだが、第12章は簡単な本能寺の変の解説になっている。

序章 粛清の城 佐和山城
第1部 挫折
 第1章 元亀争乱の中に消えた部将たち
 第2章 越前の争乱の中で
 第3章 抜擢に応えられなかった者たち

第2部 粛清
 第4章 伊勢における粛清
 第5章 近江における粛清
 第6章 天正八年の老臣追放
 第7章 北陸国衆の粛清

第3部 反逆
 第8章 反逆の中での尾張統一
 第9章 将軍との対立の中で
 第10章 水野信元と松平信康の切腹
 第11章 信長を見限った外様大名
 第12章 反逆による信長の最期
終章 反逆されやすかった信長

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コメント

面白そうな本ですね。テーマも凄い。

>4人とも知っている人は信長の家臣についての「通」である
四人の内、中川重政だけしか知りませんでした。しかも名前のみ。

投稿: 馬頭 | 2007年8月30日 03時34分

そこそこ重いネタではありますが、信長ものとしては目新しさが少しあるんで、そこは楽しく読みました。
1段あたりも適度に短いし、さくさくと読めた本は、なんか久しぶり(笑

>四人の内
原田備中守はかなりこき使いましたよ
・・・ゲームの中で(笑

投稿: 武藤 臼 | 2007年8月31日 01時18分

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