« 長篠城 | トップページ | (書評)植物の生存戦略 »

2007年9月17日

(書評)古代メソアメリカ文明

講談社選書メチエ 393
古代メソアメリカ文明
青山和夫 著
ISBN978-4-06-258393-0
講談社 2007.8

 7月に放映されたNHKスペシャル失われた文明 インカ・マヤ 第3集に触発されて、最新の中米モノを読んでみた。メソアメリカとは、中央アメリカの一部を指す地理的な概念で、本書では、

 メキシコ北部から中央アメリカ北部(グアテマラ、ベリーズ、エルサルバドル、ホンジュラスの西半分)にかけての100万平方キロメートルほどをその範囲とする。(10頁)
と定義している。

 本書は、このメソアメリカの歴史について、先スペイン期と区分される16世紀のスペイン征服以前の時代の歴史を扱ったもの。時代と地域の違いから6つの章を設定し、それぞれについて代表的な遺跡や遺物を紹介しながら歴史の流れを追う構成になっている。著者の専門および資料の制約から考古学的な情報が中心であるが、一部に碑文資料を使って王様の名前とその物語が出てくる話が含まれている。

 読後の印象として、基礎的な情報をきちっと扱うことを中心とした通史的入門書で、簡潔で読み易い本だったと思う。著者自身も入門書と明示している。農作物の話から多くの遺跡、マヤ文字、歴史解釈上の問題までと深さには限度があるもののメソアメリカ古代史という設定の中では広がりがあり、多様で読んでいて大変面白い。


 今までのところは自分のメソアメリカ古代史に対する認識は、高校世界史レベルにその後ランダムに加わった情報が散りばめられていた状態で、あまり体系建てられていないといったところだった。本書では、それがらがそれなりに整理されたうえに押さえておくべき地名や文化名が大幅に増強された。それだけでも十分に有用な入門書だったと思える。

 また、興味を惹かれた点でいうと、文字資料が圧倒的に不足していても遺跡資料を丁寧に組み立てて行くことで少なくとも本書のレベル以上に体系建てられるということ、それでも文字資料の不足という点では王朝史的な物語が欠けることは如何ともし難いこと、それでも多少なりともアンデス文明には無い文字を持っていたことで考古学との成果と合わせることでの歴史の復元が可能であること、というあたり自分なりに面白く読み解くことが出来た。

 今後ということでいうと、自分的にはあまり深入りする余裕はないのだが、あまり知らない世界のこと機会があったらまた関連書を読んでみたい。印象として概説書は他地域に比べてやはり圧倒的に少ないように思うが、南北アメリカ広くを見渡して面白い本が更に出てくることを期待したい。

 また、南北アメリカともまだ行ったことがない大陸で、マチュピチュなどいつかは行ってみた場所ではある。メソアメリカといえば、チチェン・イツア、テオティワカンくらいしか知らなかったが、面白そうな遺跡がメソアメリカ各地にあることを知ってしまった。さてどうしたものか。


 本書内には、ピラミットをなどを含む石造の都市遺跡が多く紹介されているが、以下にGoogle Mapで見ても面白そうな遺跡をいくつか紹介してみる。

モンテ・アルバン
 メキシコ南部、オアハカ盆地にあるメソアメリカ最古という都市遺跡

拡大地図を表示

テオティワカン
 メキシコ中央高地の代表的古代都市遺跡、中央が太陽のピラミッド

拡大地図を表示

チョルーラ
 メキシコ中央高地東部、テオティワカンと同時代の都市遺跡、遺跡の上に教会が建つ

拡大地図を表示

ショチカルコ
 トルテカ時代、モレーロス盆地の要塞都市遺跡

拡大地図を表示

エル・タヒン
 トルテカと同時代のメキシコ東部の都市遺跡、「壁龕のプラミッド」で知られる

拡大地図を表示

|

« 長篠城 | トップページ | (書評)植物の生存戦略 »

その他の歴史」カテゴリの記事

書評」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/162739/16480488

この記事へのトラックバック一覧です: (書評)古代メソアメリカ文明:

« 長篠城 | トップページ | (書評)植物の生存戦略 »