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2007年9月23日

周山城

 9月も下旬となり、ようやく涼しくなってきたので、趣味と運動不足解消を兼ねて山城巡りに出かけた。山を歩くのは、6月に愛宕神社に登って以来3ヶ月ぶり。今秋の山城歩き最初の城は、かねてから期待していた周山城。学研歴史群像シリーズ俊英 明智光秀によれば、明智光秀と本能寺の変後の豊臣秀吉が関係していたと考えられる資料が、断片的に残るだけの謎だらけの城であるらしい。また、同書では周山城を俯瞰したイラスト入りで解説しているが、その中に

東西が総延長850メートル、南北が600メートルの規模に及ぶ、京都府域有数の大規模山城(34頁)
とあり、この言葉と総石垣の山城として復元されたイラストに触発された次第。

 周山城のある旧京北町は、数年前に合併して京都市右京区の一部になった。山麓の周山町までは、京都駅から出るJRバスで1時間40分かかる。京北といえばなによりも北山杉のイメージだが、その本場に踏み込むのも初めて。沿道はもとより山城周辺に到るまで杉の植林地で覆われていて、バスの窓から杉天然出絞丸太、いわゆる天絞と思われる丸太を天日干ししているのも見かけた。

 周山城の登城口は、JRバスの終点から歩いて5分ほどの所にあり案内もある。周山城の本丸と山麓とは250m近い標高差がある。ひと夏怠けていた身体で登れるものかと心配していたが、登城口から本丸まで、途中の郭を見て回りながら1時間ほどでたどり着けた。要所に案内があり、思いのほか動いた足に一安心。学研の解説には、城の西にはかなり大きな規模の陣城(戦いのために一時的に利用された城)があるとのことで、それも含めて見て歩くのには4時間ほどかかった。



 これは、本丸の写真。本丸周辺の案内図が置いてあり、本丸の東の郭が二の丸、西が小姓丸、南が馬屋ノ丸と鷹屋ノ丸と書かれている。正面の盛り上がっている部分は、天守閣の基礎と言われている。随分と広いように思うのだが、時期を考えれば天守閣があったとしてもせいぜい三層程度のもどだろうと思うのだが、はたしてどうだったろう。


 二ノ丸から本丸方向を見た写真。総石垣と言われるだけあって、いたるところ大きな石がごろごろしている。ただ、本丸と二ノ丸は破壊が大きく、壮大さが想像されるばかりで原型を留めている所は僅かにすぎない。破壊の程度に東西で大きな差があることから、廃城後に意図的に破壊したものと想像している。


 こちらが、本丸から西へ伸びる小姓丸の北側の石垣。石垣を破壊する際に真っ先に壊すとも言われる角の部分も奇麗に残っている。西側の尾根上には、数段にわたって郭が築かれていて、北側と西側の石垣が良く残っている。高い所で10m近い高さが残るところもあるほか、本丸から順に下ってくる石段も確認できる。

 南側に続く尾根上も、西側ほどではないが石垣が残っていて、門の下にあったと思われる石段も見止めることができる。


 上に書いたように、城の西には陣城跡と想定される場所がある。本城と陣城との間の尾根には、深い堀切が今も明瞭に残っている。これは東側の堀切。


 陣城跡は、地形が周山城の本丸周辺よりもなだらかなことから、かなり広い削平地を確認することができる。作りはそれほど複雑ではないが、土塁や虎口などを確認できる。写真は陣城の真ん中にのこる土塁。


 一回り歩き回ってみて解説どおりに大きな山城だったというのが実感。今に残る石垣は積みが粗く見えるものの、本丸周辺については、総石垣だったというのが実感できる程度の残り具合である。400年の時間を経て石垣の残り具合は良い部類で、当時の緊張感が伝わってくるような城である。

 これだけの山城が記録にほとんど残っていないこと自体が謎と思える。明智光秀縁ということで、残さなかったということだろうか。周山町は、かつて篠山藩の代官所や北桑田郡役所が置かれた場所で、明智光秀が北桑田郡の押さえの城として整備したという説には違和感がない。その意味では、必ずしも不相応に大規模とも思わない。

 むしろより謎なのは陣城のほうだろう。地形的に東南側の方が険しく、堀切から登って行く道はかなり急になっている。本城が険しい斜面に囲まれていることを考えると、陣城の西斜面は無防備に近い。二本の堀切を挟んで周山城と対するためのものと考えるのが自然である。そうすると一番ありそうなシナリオは、光秀敗死後に城に立て籠った光秀残党軍対秀吉軍というものだが、果たして如何なものか・・・


周山城周辺図 「この地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図(殿田、周山)を基に作成しています。」

 本丸から北へのびる二本の尾根について、学研のイラストにはこの尾根上にも郭が書き込まれていて、恐らくあるだろうと予想しているが、未踏破のため確認していない。


周山城周辺(Google Map)

<参考>
俊英 明智光秀(学研)

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