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2007年10月20日

ライスショック あなたの主食は誰が作る

 このまえのNHKスペシャルは、14日と15日の2回で米作りの話。14日が 世界がコシヒカリを作り始めた、15日が 危機に立つコメ産地というもの。大雑把に纏めれば、世界が日本市場の自由化をにらんで日本人の嗜好にあった安価な米作りを始めたという話と、自由化を待たずに崩壊しつつある国内の現状というもの。とくに関心があるのが今夜の放送だったが、失政、農協、流通、後継者問題、米作りの比重が低い農家の現状など今後の農家を考えていく上で前提とする必要がありながら、語られなかったものも多い。1時間では無理なのは承知している。限られた時間の中でやや単純と言えなくはないが、問題提起としては纏まっていたように思う。

 10年続いた街での暮らしで知らないことだらけなので、番組の内容や農業の問題についてコメントする気はない。ただ、集落で纏まって集団で大規模経営という政策を聞くと、今更ソ連や中国の失敗を真似してどうするんだろう、という少々くたびれた疑問が浮かぶ。番組の中でもあっさりと否定されていたが、行政当局はどう考えているのか。

 少し違う話を少し書いておく。主食は一番の戦略物資であって自給するべきという論があって、その反論として、輸入が止まってしまえば食料生産そのものがどうにもならないと言う。自分は、今は反論の方が分があると思っている。日本は世界に冠たる高物価国なので、たとえ世界に余剰食料が少なくても優先的に食料が入ってくる。

 では、今年以上に穀物相場が高騰したらどうなるのか。これはかなり現実的な前提のように思う。すでに現実になっている問題だが、高価な穀物を買う金がない貧しい地域が優先的に飢餓になるということだ。このことは承知しておかなくてはならない。

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コメント

通りかかっただけなのですが
農産物価格が上昇するならば、欧米の安い農産物も
高くなるので、日本の農家もうまくいくはずです。
簡単なことなのに、なぜか指摘されない。
それから、欧米の工業国の農業がなぜ世界を席巻する
のか、よく考えてみてください。市場化して競争した
からではありません。経済学部で農業貿易や農業政策を
扱っている人間には常識です。
工業国から安い農産品をぶっつけられるので、途上国
の農業は過去一世代でつぶされました。

農水省の分析担当者(東大農学部出身者)は
基本的にマルクス経済学者です(大内力以来の伝統)。
ですから、大型化を論じる前提が近代経済学ではない。
本来、大型化は頭うちなのです。集団化でもやりたい
のでしょう。
第二に、欧米は日本を上回るウルトラ保護農政です。
アメリカのコメ農家は日本のかつての買い上げ制度を
上回る異常に手厚い保護を受けており、正味の日米
価格差は実は数割に過ぎません。彼らは基本的に
インフラ整備など、生産刺激補助金を使いますが、
コメの場合、差額保証制度が国内市場価格と海外市場価格
の両方に設定されており、二重取りまでやってます。

日本の農家は本来被害者なのですが、加害者の不公正
農政の欧米がなぜか被害者ぶっている。事実無根の
リンチのような趣が農民叩きの風潮にみてとれます。

投稿: 通行人 | 2007年10月25日 12時45分

コメントありがとうございます

>農産物価格が上昇するならば(中略)日本の農家もうまくいくはずです。

この点には僅かながら私も期待してますが、コスト高に見合うだけ上がるのか、そもそもその時が来たときに農業を担える人材と土地がどのくらい残っているのかという点にはかなり懐疑的です。


>第二に、欧米は日本を上回るウルトラ保護農政です。(中略)正味の日米価格差は実は数割に過ぎません。

この点もどうもそうらしいとは思うのですが、具体的に情報を持っていないので自分には真っ当にコメントできません。ただ、農家が活性化しているかどうかという点で、欧米と日本の保護策の根本的な違いに問題があるのではないかと推測しています。米作りをしないことに奨励金を出すという後ろ向きな制度では無理ではないかと。


>日本の農家は本来被害者なのですが(以下略)

この点は農政の失敗という問題は大きいのですが、全面的には賛同しかねます。少なくとも、戦後の日本において農業は、3K、5Kと言われて酷い職業であるとされ、離農を促す風潮がありました。現在の後継者不足問題の一端はここにあると考えています。

投稿: 武藤 臼 | 2007年10月27日 15時02分

生産刺激補助金をつかって不当廉価の農産物を乱造し、
ダンピング輸出をかけて貿易相手国(日本や途上国)の
農家を破壊する。
この前提がなければ(欧米が公正であれば)、または
日本が欧米並みの保護政策をとることを交渉で不当に
欧米が否定しなければ(または日本政府がきちんと
交渉できれば)、農業が汚い職場になることはなかった
と思います。
世界全体でみても、途上国の農業も頭打ちで、元凶は
欧米(オーストラリアなどは生産刺激補助金の内訳の
公表すら拒否している)なのですから、ここを否定せずに
内向きの改革をいくらやっても一人相撲かも知れません。

保護の金額を比較する際に、市場価格一単位当たりで
比較する方法と、生産費用一単位当たりに対する補助金で
比較する方法があり、前者では日本と欧米に大差ないものの
後者では欧州は二倍以上、アメリカも日本を上回ります。
国際交渉で基準なのは前者ですが、これでは生産刺激補助金
をカウントできません。オリンピックのルール改定と同じ。

最後に、コスト高は日本だけではありません。本来、不当な
生産刺激補助金を除けば、欧米の農業もコストは高い。
下駄をはかせた状態で競争している、そこを見てください。
失礼しました。(退散)。

投稿: 通行人 | 2007年10月29日 09時50分

欧米の補助金のシステムについては、一度まとめて勉強しないといけないなと思います。

自分的には、ヨーロッパの方が興味がありますね。EU内で結構所得格差がありますし、EU内で保護政策の格差にも限度があるはず。ニュースだけ見てると、そこそこ苦労しているようにも見えるがどんなものか。

投稿: 武藤 臼 | 2007年10月31日 00時24分

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