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2007年10月 9日

激流中国〜チベット

 一昨日の放送だったNHKスペシャル、激流中国〜チベット 聖地に富を求めて。このシリーズ、各回のサブタイトルにさほど魅力を感じなくていままでまともに見ていない。今回は、今の中国でも特に問題の多いチベットを扱うということで見てみたので感想を。

 内容はいたってシンプルなもの。チベットの区都ラサにある今一番と言われるホテルのオーナーと一従業員の話。昨年の青海チベット鉄道を契機に変わりつつあるチベットということで、四川省から乗り込んで昨年ホテルをオープンさせたオーナーと、現金収入を求める出稼ぎ労働者であるというチベット人従業員の二人を追うことで、その変化を見て行こうというストーリー。

 背景として説明されたこととして、この一年で観光客が増えたこと。その中には日本人も含まれ、それと思しき人達が画面に現れ、日本人対策はオーナー氏の戦略のひつとであるらしいこと。オーナー氏は客集めとしてホテルを博物館にするとして、仏像、仏画や古民具買い漁るほか、チベット人楽団を雇い、僧侶による法要を見せ物にしようする。楽団員として雇われたチベット人は、能力給への移行とともに大幅に給料を減らされたことに反発してホテルを辞めていく。

 二人の存在もホテルのことも私は知らないが、ストーリーとしてはありきたりで別段驚きはない。第一感として、独裁者として振る舞う横暴な漢族オーナーと自由経済に巻き込まれて戸惑うチベット族労働者、あるいはチベット文化破壊を意に介さない漢族オーナーというような印象を受けてしまう。しかしながら、そういう対立軸が今のラサの一般論として存在するのかどうか、番組を見た限り何とも言えないし、そもそも最初の印象はおそらくかなりいい加減に頓珍漢であると思う。

 チベット人にも商人は昔からいたし、漢族がラサに入って既に半世紀、番組の中にもラサ生まれという漢族がでていた。極端に単純化すると、漢族とチベット族それぞれに余所者と在来者、豊かな者と貧しい者がいて、それで最低8つのカテゴリーに分けられる。峻別できるとは思っていないが、彼らが多くの人々のたった二例に過ぎないことは事実だろう。

 ラサでの資本家は漢族だけなのか、余所者が中心なのか。ラサに暮してきたチベット族はどうしているのか、チベット族と漢族以外の人達は。新疆にはウイグル族の民族音楽団があったが、チベットはどうか、彼のように個人単員で雇われるしかないのか。などなど疑問はいくらでも出てくるが、番組からは何も読み取れなかった。チベット族の暮らしはどう変わっていくのだろうという見る前からの疑問にも答えがでなかった。

 先週の新シルクロードもそうだったが、ミクロな視点で背景の説明が不足した作りでは、少しでも一般化できそうな話を読み取るということが、自分にはできなかった。チベットの方が予備知識がある分思い込みで一般化してしまいそうな事が恐ろしい。NHKスペシャルをいつも見ているわけではないが、こういうミクロな作りは今流行なのかな?面白いことは否定しないので、誤解を生まない程度の解説は是非とも省かないでほしい。

 チベットが今後5年、10年で大きく変化することはまず間違いない。新疆のカシュガルあたりの街がこの10年、20年で経験したことを、その半分以下で経験することになるのではないだろうか。それでもラサへの訪問は今の内と考えるべきか・・・。

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