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2007年12月23日

(書評)ヨーロッパとイスラーム世界

世界史リブレット 58
ヨーロッパとイスラーム世界
高山博 著
ISBN978-4-634-34580-5
山川出版社 2007.9

 地理的概念であるヨーロッパと文化的概念のイスラーム世界をあえて併記し、現代世界につながる問題の概観を説くことを目指した一冊。一般向け入門書シリーズである世界史リブレットの58巻で本文87ページ。

 筆者の著作については、中世シチリア王国(講談社)を読んだことがあり、イスラム支配下からノルマン人が奪取した頃、イスラム教、ノルマン人、地中海世界が不思議に融合したシチリア島の歴史が面白く描かれていたのが記憶に残っていた。

 本書は、以下の4段からなる。ヨーロッパとイスラム教の関係史という枠よりは広い範囲を扱っている。

 1 枠組み 集団と歴史
 2 比較 文化圏
 3 接触 交流と衝突
 4 統合 グローバル化

 1ではそれぞれの枠組みとして、ローマ帝国からフランク帝国までのヨーロッパ、マホメットからウマイヤ朝までのイスラム世界の成り立ちを解説。2では中世地中海の三大文化圏として、ギリシャ・東方正教文化圏アラブ・イスラーム文化圏ラテン・カトリック文化圏を設定し、10世紀前後の状況を解説。3では、接触事例の地域としてイベリア半島とシチリア島、事象としてルネサンスと十字軍を解説。4では、現代の状況として、文明の衝突論、イスラーム過激派といった問題を採り上げている。


 中世を中心としたイスラーム・ヨーロッパ関係史解説ものとして、リブレットという規格の中で良くコンパクトに纏まっていると評価できるかと思う。前史的な要素の第1段を省いて関係史にしぼった方がより面白い内容になったのではないかとも思うが、基礎的な入門書として位置づけるすればそう言い切れないか。

 読んで面白かったのは3段で、イスラーム教の歴史が700年を越えるイベリア半島と200年に満たないシチリア島を並べているのが筆者らしく、シチリア島の部分には具体的な話がより多く含まれる。著者の前著が思い出される。

 文明衝突論や過激派、ヨーロッパにおけるイスラム系移民などの解説は、わりと適切と思われ、世界史の中から現代の問題を考えるという方向の入門書として手軽な一冊と見てよいかと思う。

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