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2007年12月30日

(書評)カメのきた道

NHKブックス 1095
カメのきた道
甲羅に秘められた2億年の生命進化
平山廉 著
ISBN978-4-14-091095-5
日本放送協会 2007.10

 カメとは何かということについて、進化の歴史から現代の多様な生態まで、かなり広い範囲を扱った入門書的な解説書。とくに亀に興味が有るというわけではないが、良く知らない生物について進化の歴史を含む入門書ならと惹かれて読んでみた。目次は以下のとおり。

第1章 カメの体の驚異的な仕組み
第2章 多様な環境に進出したカメたち
第3章 謎だらけの起源
第4章 恐竜時代のカメたち---世界への大拡散
第5章 海というもう一つの世界へ---最古のウミガメの姿
第6章 甲羅を力に変えて---哺乳類時代のカメたち
第7章 迷惑な保護者

 1章が解剖学的な話を中心とした亀の体のつくりについて、2章が現在生きている亀の多様な生態の紹介。筆者は化石爬虫類の研究を専門としているとのこと。自身が発見したものを含む多くの化石資料から、亀の進化の歴史を解説した3章以降が本書の中心といえそうだ。

 本文190ページと決して厚くないが、初心者的には未知な情報が盛り沢山だった。1章では、亀最大の特徴である甲羅はどうなっているのか、首はなぜ引っ込むのか。2章では、現生の亀にはどんなものがいて、どう暮らしているのか。3章では、亀の進化の上で何が分かっていて何が分かっていないのかという具合である。


 限られたページ数ながらそれほど詰め込んだという文章ではなく、専門用語もそれほど出てこない読み易い本だった。その裏返しで、既に亀についてある程度知識がある人には物足りないのかもしれない。ただ、進化の問題にまで踏み込んだ類書はあまり無いとのこと。

 特に興味を惹かれた点を書き留める。まず化石という点。亀は甲羅という固い部分があるために化石はかなり多く見つかるとのこと。しかも日本国内でかなり見つかっているという。この点は自分にはまったく意表を突かれた話。今まで恐竜の化石を見るようには亀の化石を見たことがない。化石の出土地や博物館に出かける機会を見つけて、是非じっくりと観察してみようと思う。

 白亜紀の終わりというと、恐竜がことごとく滅んだという大事件があったとされているかと思う。本書では、恐竜以外の爬虫類、とくに亀が生き残っている点から大絶滅の問題点を指摘している。亀は多くの種類が白亜紀の終わりを乗り越えて生き残ったとのこと。本書ではそういった点の指摘に留まっているものの、爬虫類の現存種について触れた上で、大絶滅の問題点を指摘したものを自分は初めて目にしたように思う。この点は特に興味を惹かれるので機会があればほかの本にもあたってみたい。


 本書は、今を生きる亀だけでなくその進化史までを広く扱っている。自分のような亀初心者が楽しく読める内容で、なかなかお薦めな一冊である。

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