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2008年2月25日

(書評)地域主権型道州制

地域主権型道州制
日本の新しい「国のかたち」
江口克彦 著
ISBN978-4-569-69666-9
PHP研究所 2007.11

 本書は、道州制についての解説書ではなく、筆者が目指す地域主権型道州制の必要性を説くもので、「日本を救うために」導入すべきものとして筆者の考えを纏めたもの。

 最初に道州制、地域主権型道州制と、これまでの政治的な流れがについての解説がある。ついで、今の日本は東京だけが繁栄し人も金も集まるようになっていて、その原因は中央集権体制にある。今の体制には弊害が多く今後日本が発展していくためには既に限界にあると説く。また、地方自治が謳われていながら強力な中央のコントロールの下に有るため、地方は自立できなかったとする。

 解決策としては、昨今の行革で行われているような、中央の権限を小出しに分け与えて行く地方分権ではダメとする。必要最小限の小さな中央政府を強く打ち出し、財源や権限を大きく移譲した地域主権型の道州制が必要であり、その為には地方の再編を更に進めて12の州、300の市にすべきとし、中央、州、市の役割分担を説く。

 最後に、住民に根ざした道州制を実現するため、「民意を取り込む」「経営能力を高める」などが必要で、その実現の為にとして具体的な策が提起されている。以上によって地域主権型道州制を実現すると、筆者が序章に示した近未来の物語が実現されるという。


 以上はかなり単純化した要約ではあるが、読後感としてもさほどに違わずに単純なものに見えた。解決策として提起されている点も、いかにして行政を適正かつ効率的に運用するかという問題にすぎず、道州制を論ずる材料になっていないものが多いように思える。

 そもそもの話だが、自分はこの本を地域主導型道州制と勘違いして買った。道州制という制度として、枠組みや分担といった部分が先に立っていて、本書も中央主導型の道州制の亜流に過ぎないように思えてしかたがない。

 本書は、道州制に対して自分が持っている違和感に対してほとんど答えてくれることなく、かなり中途半端な本だった・・・と締めくくって感想文としては終わりとなる。ただ言い足りないので、性懲りもなくそのことについて次に改めて書いてみる。


<目次>
序章 20XX年、新しい日本のすがた
第1章 日本に『地域主権型道州制』を導入する
第2章 なぜ東京だけが繁栄するのか
第3章 中央集権システムの限界
第4章 いかに国が地方をコントロールしているか
第5章 「地方分権」では解決できない
第6章 『地域主権型道州制』はこうする
第7章 住民密着の『地域主権型道州制』

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