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2008年2月26日

道州制について

 地域主権型道州制(PHP研究所)への反論かたがた、感想文の枠からはみ出る部分について少し書いてみる。

 自分は、道州制を導入するのであれば、一種の連邦制として地方主導で新しい地方自治の形を造る、という方向でなされるべきと考えている。このことは、以前に道州制特区広域行政推進法案の中でも書いた。これには、平成の大合併は中央主導による地方自治の破壊、という意味が大きかったという前提がある。ただし、この方向で突き詰めていくと、枠組みとしては道州制でなくても都道府県の再編で十分というところに行き着く。

 地域主権型道州制の中で著者は、効率的な行政の為には「12の州、300の市」が適当として、人口規模の平準化を示している。自分は、そういう意味での平準化が、地方自治にとってはそれほど重要ではないのではないかという疑問を持っている。wikipediaのアメリカ合衆国の州によれば、人口最大は3400万人のカリフォルニア州、最小は50万人のワイオミング州。カリフォルニア州は東京都の3倍であり、ワイオミング州は人口過少な県として問題視される鳥取県や島根県よりも少ない。一例に過ぎないが、規模の大小は枠組論として大騒ぎするような前提ではないと考えている。


 頑張っている市町村として、過去にニュースになり、記憶に残っているものを挙げてみる。10年前に住民直接参加が話題になり、昨今は国際スキーリゾートとして有名になった北海道ニセコ町。合併しない宣言など、自主独立路線で名を馳せた福島県矢祭町。最近、少子化対策の成功例として紹介されることが多い長野県下條村。柚子加工品の成功で知られる高知県馬路村。九重“夢”大吊橋の成功が話題になった大分県九重町など。平成大合併で合併しなかった所ばかり。意図的に挙げたというよりは、合併せずに話題になった所ばかり記憶していたという自分の主観による。実際に現地で話を聞き見て歩いた所もあるが、ほとんどはニュースとして読み聞いただけであり、今も本当に成功例であり続けているかどうかは不明。

 枠組み論への矛盾として常に気になるのが長野県。地域主権型道州制には12州の他に、9、11、13という案が紹介されている。長野県の合併相手は、9で茨城・栃木・群馬・新潟、11と13で茨城・栃木・群馬・埼玉、12では新潟・富山・石川・福井となっている。この中では、12だけが北信越という高校総体とかで使われる既存の枠であるが、あとは何の繋がりも想像できない枠ばかり。長野県は、限りなく新潟県に近い栄村からほとんど愛知県である根羽村までを含んでいる。最小限の言い回しとして言えば、長野県周辺については都道府県が合併するという形での道州制導入は無理がある。


 自分が道州制について問題に思ってる点は、とりあえずこんなところ。纏めにはなっていないし、それほど明確な方向性を持っているわけでもない。ただ、こうやって色々と考えてみると、今議論されているような道州制を導入するくらいなら、地方の努力によって、地道に分権を進めて行く方がまだマシなのではないか、というのが今の所の結論である。

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