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2008年2月19日

(書評)シリーズ藩物語 盛岡藩

シリーズ藩物語
盛岡藩
佐藤竜一 著
ISBN978-4-7684-7107-4
現代書館 2006.11

 本書は、シリーズ藩物語の中の一冊で、前史として南部氏の歴史を簡単に触れた後、盛岡築城から戊辰戦争敗北に至る盛岡(南部)藩の歴史を解説したもの。

 このシリーズは、2004年の長岡藩を皮切りに11冊が出版されている。これまでに年2冊から4冊とゆっくりしたペース。巻末に江戸末期の各藩として、300弱の名前が挙げられているが、全部出版予定だとしたらなかなか遠大な計画だ。これまで出されたものを見ると、幕末の石高で盛岡よりも大きいのは会津藩だけ。小藩あるいは地方重視かという面白い選定である。

 その中から盛岡藩を選んだのは、自分が以前に暮らした街という縁からなのだが、実は江戸時代の盛岡の歴史はほとんど知らない。もともと江戸時代の歴史が守備範囲外である上に、暮らしていた当時は東北の歴史にあまり関心が無かった。今から思えば全く勿体無い話なのだが。そういうわけで本書が目に留まったのを期に勉強し直しである。


 あとがきに筆者自ら書かれているとおりに読み易い入門書で、200頁の厚さがあるが歴史ものとしては気軽に読めるという分量である。内容は政治史に留まらず、社会、経済、文化全般を広くカバーしていて、意図された事なのだろう比較的広く浅く纏められている。藩主であっても本文に登場せずに、一覧表に名前があるのみという人がいるという配分で、興味がある部分について物足りなさが残る内容である。それがこの本の企画であって、より深くは参考文献などを頼りに次の本でということであって、本書の善し悪しには関わらないと考える。

 本書の特徴は、戊辰戦争で賊軍にされたことが強調されている部分だろう。序文にその事を絡めて、原敬の復讐という一文を持って来ている。また、その延長でアンチ薩長的な内容を含んでいる。歴史の評価ということになって来るが、もう少し押えてもと思わなくはない。

 ほかの本を見ていないのでシリーズを通しての傾向かどうか判らないが、偉人伝的に岩手出身者を紹介したコラムが6頁に詰め込まれている。この人も盛岡だったのかという人と、初めて聞いたという人が入り交じっている。コラムタイトルにあるように、ややお国自慢な内容。


 歴史ものとしてどうかという点では、私の知らない事ばかりなので判断できないのだが、比較的浅い内容なのでアンチ薩長の評価を除けば無難な内容に見える。本書はあくまでも起点であって、深めて行く段階で理解して行けば良いことだろう。それ以前のこととして、本書に書かれている歴史地理的な背景を知らずに盛岡に暮らしていたことが悔やまれる。盛岡の街を見る目という点で十分に自分の中に残るものがあった一冊である。


<目次>
第1章 南部氏のおこり
第2章 盛岡城の築城と藩政の安定
第3章 城下町の形成と武士の生活
第4章 城下の人々の生活と文化
第5章 農民の暮らしと信仰
第6章 藩政の揺らぎと改革
第7章 戊辰戦争の敗北と盛岡の人材

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