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2008年4月 4日

(書評)新書で入門 新しい太陽系

新潮新書 238
新書で入門
新しい太陽系
渡部潤一 著
ISBN978-4-10-610238-7
新潮社 2007.11

 久しぶりに自然科学ものを一冊。冥王星が話題になったのは一昨年の夏のこと。国際天文学連合によって惑星が再定義されて、それで冥王星が惑星から準惑星に変わったというもの。ここでも冥王星と題して簡単に採り上げた(ニュース元はリンク切れ)。筆者は、その国際天文学連合の「惑星定義委員会」の委員の一人で、国立天文台天文情報センターでセンター長を務めている。

 本書は、タイトルの通り太陽系について新しい情報を盛り込んだ入門書である。下記目次にあるように14章で8つの惑星と太陽と月、小惑星、彗星、それに冥王星を紹介している。新しい観測結果や学説を紹介することが中心ではなく、太陽系を紹介しながらそのなかに新しい情報が織り込まれているというつくり。

 入門書という点では、ガリレオとか天王星や海王星の発見などの基本的な話も盛り込まれ、数字的な部分も紹介されている。ただしあくまで読み物なので、基礎データとして数字を並べた表などは載っていない。比較的新しい話題として、今世紀になってから打ち上げられた数々の惑星探査や天体観測の成果にもふれているが、それが中心ではないのでそこそこ詳しく紹介されているものもあるが、全てを網羅しているわけでもない。


 本書の特徴は、筆者が冥王星問題に直接関わったという点である。その事は、プロローグや13、14章で詳しく触れられている。天文好きにはさほど目新しい情報ではないかもしれないが、自分のように息抜きに時々空を見上げる者には十分に面白い話題である。

 全224頁とそれほど厚い本ではなく、その中で太陽系ものとしては冥王星にそこそこ頁を割いているので、木星や土星の衛星の話題が最小限しかないなど情報の深さには限りがあり、本書はその範囲内でできることを纏めたといえる。あえて言い足せば、写真が少ない。素材はいくらでもあるので、もう16頁増やして写真を多く載せても良かったのではと思う。

 入門書という位置づけを押えながら、新しいものを含む広い情報を良く纏めてあると評価できると思う。奇異な内容の無い良い本と思うが、強いていえばそれでも軽いと思う人は結構いるのではないか。その意味ではもう少し厚くしても面白く纏め得たのではないかと思う。


<目次>
1.プロローグ
2.大家族の中心にある“ストーブ”---太陽
3.ストーブの周りを駆け回る走者---水星
4.美しき女神の名を持つ“妹”---金星
5.青色はぐれ星---地球
6.身近にありながら謎の多い衛星---月
7.不気味に赤く光る軍神---火星
8.太陽系の空白地帯に位置するもの---小惑星と彗星
9.太陽系惑星の王者---木星
10.壮大な環を擁する妖しいまでの美しさ---土星
11.へそ曲がりの惑星---天王星
12.内部からの発熱で予想外に暖かい---海王星
13.太陽系の果て---冥王星と太陽系外縁天体
14.惑星の定義---なぜ冥王星は準惑星になったのか

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