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2008年8月27日

アフガニスタン邦人殺害事件

 拉致の第一報を知ったのは、アフガニスタンなどで活動をされている別のNPOの方のブログだった。世に報じられることなく、NPO、協力隊、JICAあるいは個人として地道に活動されている方は沢山居られることと思う。昨今では、このブログの様に現地から情報発信される方が増え、単に見知らぬ地の情報に触れられるばかりでなく、活動の分野と地域の広さに目を見張る思いでいる。


アフガン山中で拉致された日本人発見、遺体収容し下山へ=州知事
(ロイター 8月27日)

 既に報じられたように、事態は残念なこととなった。こういう言い方で伝わるものかどうか、自分は他人事として言い尽くせないような思いを感じている。なんともおかしな言い方なのだが。

 既に四半世紀、アフガニスタンで活動してきたペシャワール会のこと、治安の悪化が伝えられていたとはいえ、事件は起きないに違いないという期待はあったものの、残念ながら例外とはならなかった。ただ、事件の情報は錯綜していてまだ不明なところが多い。上のロイターの記事中には、

 反政府武装勢力「タリバン」は、伊藤さんの拉致に関して情報を持っていないと述べた。
とあるものの、

 男性の拉致については、タリバンが犯行声明を出している。
アフガン治安部隊、拉致日本人救出のためタリバンと戦闘中 現地警察発表 (AFP 8月26日)

というのもある。ペシャワール会の中村哲氏は、インタビューの中で次の様にコメントしている。

 犯人が村人に追われて逃げる途中、(伊藤さんは)撃たれて死亡したようだ。単なる強盗、身代金目当てで、政治的なものではないと思う。
「治安悪化の認識甘かった」=ペシャワール会の中村代表−アフガン邦人拉致・タイ
(時事通信 8月27日)

タリバンというのは、裾野が広くて雑多な集団と見られているので、例え犯人がタリバンに繋がっていたとしても、中村氏の見立てが正しい可能性は十分にある。政治性がなければ単なる事件・事故と見る事ができるとはいえ、治安の悪化が深刻であることに変わりがない。ただ、その社会的な背景がわりと明瞭なだけに、余計に煮え切らない物が残る。


 これからどうなって行くのかということになる。アフガニスタンの状況が悪化するままに世界から忘れ去られるというのが最悪である。目先のこととして、それに対処していこうという活動を基本的に自分は支持する。また、中村氏が厳しい判断を迫られているとはいえ、どんな決定を出したとしても氏と会を支持していけると思っている。


 既に事件を元に様々な論評が出てきている。たとえば、以下のようなコラムがある。

 福岡市の非政府組織(NGO)「ペシャワール会」の伊藤和也さん(31)が拉致されたアフガニスタンでは、反政府武装勢力タリバンの活動が活発化、駐留米軍などとの戦闘が激化の一途をたどっている。日本の国際貢献の中核を担うはずの自衛隊は、憲法上の制約などから部隊派遣に踏み切れない状況で、危険と直面しながら民間NGOが活動を続ける国際貢献の「ねじれ」が、事件の遠因にあるとも言える。
アフガン邦人拉致 危険覚悟のNGO活動 自衛隊は派遣できず 国際貢献に課題
(西日本新聞 8月27日)

 自衛隊の派遣に反対し続けてきたペシャワール会に、自衛隊派遣前提の論評というのはかなり奇異に見えてしまう。また、貴い命とはいえ、これを期にと危険が強調されることも単純に過ぎる。自衛隊にペシャワール会のような活動が不可能であることは、イラクの実績で既に明らかなこと。このような記事が増えて、事態あらぬ方向に流れないことだけは特に願っておきたい。

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自衛隊は撤退しろ、といっていた人たちはこのニュースをどう思うのかペシャワール会の中村医師(読売新聞) - goo ニュースアフガニスタンで活動するNGOスタッフが遺体となって発見さ... [続きを読む]

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