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2008年10月23日

産経新聞の特集 対馬が危ない

対馬が危ない
 (上)韓国、不動産相次ぎ買収
 (中)島民の3倍、韓国から大挙
 (下)生き残りへ苦渋の“歓迎”
 (産経新聞 10月21日、22日、23日)

 産経新聞のサイトに、3日間に渡るかたちでこのような特集がアップされた。

 一日目が、韓国資本による不動産買収を取り上げたもので、ホテル、民宿、釣宿として韓国人向けに営業しているという。二日目は、定期航路で釜山港と厳原港が結ばれ、年間約1600人程度だった観光客が2004年以降急増、昨年は6万5千人を越えたという話。三日目は、対馬は林業、漁業が低迷し、高齢化、過疎化、出稼ぎといった問題を抱えていて、韓国人、韓国資本を受け入れざるを得ないというもの。

 そういった中で、国境の島としての安全保障や主権国家としての領土保全、韓国人の増加による文化的な浸食、様々なトラブルの増加といった問題点が指摘されている。最後には、次のような対馬市長のコメントが紹介されている。

 「少なくとも国境に面した島については、安全保障の点からも外国資本による不動産買収を認めない除外規定など、実効支配につながることを防ぐ手だてを設けるべきだ」
 「日本人の国境に対する感覚は極めて希薄。対馬の資源を生かした新たな産業を興すなど、国境に面した島を守る施策をとるべきだ。それが国境を国土として国が守っていくことになる」
そして、次のような言葉で締めくくっている。
 韓国資本による対馬攻勢は激しいスピードで進んでいる。残された時間は少ない。


 タイトルからしてそうだが、随分とズレた内容だと自分は思う。ズレという意味はいくつかある。ひとつには今さらというもの。記事自体にあるように、以前からのことであって急増という意味では既に5年来のできごと、今危機的だと書かれること自体に隔たりを感じる。

 また、そもそも国境での交流が盛んになるということは、平時であればあたりまえのこと。どちらかというと、やっと普通の国境地帯になってきたと自分は考える。もちろん、甚だしいトラブルや事件事故、違法行為などがあれば対処するのは当然としても、不動産買収自体を問題とするのもおかしな話。相当に陳腐な言い方だが、日本もやってきたことだ。

 閉鎖的なリゾートを造って閉じこもるということは、問題がないわけではないが特別なことでもない。その上でどうやって交流を盛んにするか、知恵を絞って行くべきだろう。落とすお金が少ないという話も、少なくとも国内に普遍的なことで特別な話ではない。


 対馬市長のコメントも、ちょっとまてと思いたくなるもの。不動産取得と実効支配は別ものであり、除外規定を設けるのも過剰反応と思える。

 なによりも国境の島であることが、対馬にとって最大の資源であり武器である。この資源は、国内では沖縄の八重山、北海道の北と東、そして対馬だけが持っている極めて特異で限られたものである。したがって、「国境に面した島を守る」ではなく「生かす」だろうと思うし、なによりそう考えられているわけで、それは「しかたなく」と言われるものとは思われない。

 自分は、国境の街に惹かれる。アジアの各地、今年はスペインでも見てきたが、そこには他とは違った空気が流れる空間がある。逆手に取れば、韓国人にとってばかりでなく、日本人にとっても魅力的な観光地になる。


 多少理想論であることは承知している。自分はまだ対馬を見ていない。国内で国境を体感できるのなら、できれば早く見に行きたいと思う。

 国境は、いつの時代にあってもどこの地域でも、そこで向かい合う両方の文化に染まる場所である。その意味で韓国の文化が押し寄せることは普通のことであり、両国の言葉が飛び交うのも当たり前のこと。守るではなく、あくまでも交流前提で考えるべしと思う。

 もうひとつ。対馬は魏志倭人伝の時代から南北の交流によって生きてきた。対馬がその中心でなく、ただの辺境であった戦後数十年が変なのであって、今対馬は本来の姿に戻りつつあるとも言える。まあ、机上の空論でもはあるのだが。

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コメント

対馬から近い福岡に住むものです。
九州では国内観光客の減少から、アジア(韓国中国)観光客に期待する声が大きく、また地域で発言力のあるマスメディアの「日本だけが遅れている」の声により、至る所で4ヶ国語(日英中韓)表示がされています。実際観光客は増えていますが文化的民族意識的なギャップを埋める努力を双方が怠っている為に多くの軋轢が生まれています。
対馬に関しては、韓国が自国領であるとの主張を繰り返し行い、学校教育やマスメディアでもキャンペーンを始めています。その主張は中世に倭寇攻撃の名目で対馬を襲撃して一時占拠した事や、元寇での全島制圧をあげています。
釜山在住の韓国人の知り合いは「韓国領である証拠にしようと対馬にムクゲの苗を持ち込んだり韓国土着の生物や植物を移植する運動がある」と半ば自嘲気味に言います。

トラブルはこの数年(特に自殺したノムヒョン時代)に多くなってきたのです。
困った事に、注意をしても聞いてもらえない事があります。所謂逆切れ(日帝云々と言うのもあり)される事もあり、暴力を振るわれることもあるので住人は泣き寝入りしてます。このあたりはマスメディアでほとんど報道される事も無く(憧憬的な国境の島的な報道はされますが)、かつ実際問題経済的に困窮しているからこその市長発言であるとご理解ください。

投稿: こんにちは | 2009年6月20日 09時32分

コメントありがとうございます

アジアへの玄関口として長い歴史を持つ福岡のこと。
暮らしておられると、他所の者とは違った経験や想いをお持ちのことと思います。

>実際観光客は増えていますが文化的民族意識的なギャップを埋める努力を双方が怠っている為に多くの軋轢が生まれています。

かなりの部分はこの点に尽きるとは思います。ただ、みんながみんな一様に日本民族あるいは朝鮮民族というわけではありません。個人のレベルで言えば、複雑さや考え方の多様さに民族は関係ないと考えています。

対馬韓国領問題については、議論する必要も無いほどに稚拙なものです。歴史を語る必要も感じていません。
韓国で実際にこの問題がどの様に議論されているのか、ともすると突出される部分だけが取り上げられますが、あなたのお知り合いのように冷静な方が多い可能性は期待しても良いのではないですか?
すぐに何が起きるという問題ではありませんので、冷静に見守るべきものと考えています。

昨今の円高によって、九州全体で韓国や中国の観光客が大幅に減っているというニュースを目にしました。
いかなる形にせよ、人の交流は新しいものを生み出す可能性を秘めています。
経済の問題ばかりではなく、せっかっく広まった交流が途絶える事はマイナスでしかありません。
そういった意味でも、今の状況はなんとか改善されないものでしょうか。


このような駄文にコメントをいただき、ありがとうございます。
無駄口をたたくにも限度がありますので、対馬を訪れる機会を作らなくてはならなくなりました。

投稿: 武藤 臼 | 2009年6月20日 17時28分

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産業経済というより自衛国防と読めば話は通じるが。。。 [続きを読む]

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