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2008年10月14日

(書評)ムガル帝国時代のインド社会

世界史リブレット 111
ムガル帝国時代のインド社会
小名康之 著
ISBN978-4-634-34949-0
山川出版社 2008.8

 書名に「社会」とあるが社会史の本というわけではなく、政治から制度、経済、社会、文化まで広く扱っている。しかも最初に簡単ながら地勢と前史まで載っている。本文わずかに87ページ、参考文献3ページという量。恐ろしくコンパクトに纏めてあるという一冊。

 内容は、下記目次のよう具合であまり付け加えることがないが、政治史的としてムガル皇帝がアウランゼーブより後がほぼ出てこないことは折り込み済みだった。南部諸国への遠征やマラータとの関係などは、その中で上手く纏められていると思う。


 自分的には、ムガル帝国の最盛期までの政治史には興味があるし、イギリスの進出にも多少関心があるが、さほど深い話は知らなかった。まして絵画や建築は何かの偶然に目にしたか、現地で見たことがあるていどで、政治制度は全くわからないという程度。

 そのレベルで見て、政治史以外について知らない情報が簡潔に纏められていて、いわば教科書的によく出来ていて解り易くとても勉強になった。本シリーズの特徴でもある上欄外の用語紹介は、他に増して多いようにも見える。実用性もそれなりに押えられていると言えるだろうか。

 政治史、あるいは歴代の皇帝の名前が並ぶような王朝史という目でみると、入門書としても物足りない。しかし、ムガル帝国時代の歴史全般としてみると、実績の無い皇帝のかわりに宰相や周囲の国の王の名前を押えるなど、本のタイトルに見合ったバランスが取れているとみる。高校教科書レベルよりも詳しい内容の、ムガル帝国を中心とした16世紀から18世紀にかけてのインド史の入門書という位置づけで、手軽で有用な一冊といって良いだろう。


<目次>
  インド世界の形成
 1 中世世界からムガル帝国の確立まで
 2 ムガル帝国の支配機構
 3 ムガル時代の経済発展と首都建設
 4 ムガル時代の社会と文化
 5 ムガル帝国の衰退

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