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2008年11月10日

リニア中央新幹線 Bルートが実現する可能性 その2

<今までのエントリー>
 リニア中央新幹線を諏訪へ
 リニア中央新幹線と長野県
 リニア中央新幹線 Bルートが無理なわけ
 リニア中央新幹線 知事の質疑応答ほか
 リニア中央新幹線 Bルートが実現する可能性 その1

 その1からの続き。


 開業した後の話。Bルートを採用するとCルートより「およそ5分の差が生じる」と長野県が試算したとのこと(信濃毎日新聞)。

 駅が増えれば、各駅に停まるのだから5分で済むはずがない、という意見をネット上で見かけたがこれは誤解。東京名古屋間を移動する場合、東海道新幹線のように途中に停まらない「のぞみ」タイプの列車を使うわけで、リニア中央新幹線でもこれは変わらないと考えられる。したがって、いくつ駅を造っても停まらなければ東名間の移動にはルート変更分の5分程度の遅延で済む。

 ところで以前

 迂回すると50kmほど長くなるので時速500kmで6分、実際には迂回するとカーブが増えることから、もう少し長く10分近く所要時間が延びる
と書いた。Bルートを採ると諏訪付近に急カーブは避けられないと思ったからだが、地図を開いてみると引こうと思えば引けることが分かった(参考地図、円は半径8km、青破線が適当な想定ルート、とりあえず茅野と上諏訪の間に駅を想定した。半径8kmの根拠はこちら)。このようなルートが実現すれば、距離が伸びた分だけの遅延ですむ。

 この5分程度が、受け入れられるのかというのは決して小さな問題ではない。


 次に、長野県内に設置する駅のことについて。1時間に何本かをそれらの駅に停めることを想定してみる。

 相変わらず大雑把な試算だが、東海道新幹線の静岡県下の区間を参考にする。現在この区間には、日中片道で「のぞみ」以外に静岡と浜松に停まる「ひかり」が1本、各駅に止まる「こだま」が2本走る。静岡と浜松がいずれも政令指定都市なので、「こだま」の2本を採用し、リニア中央新幹線でも中間駅に停まる列車が毎時2本走ると想定する。

 長野県だけで3つの駅を造ることは、鉄道の輸送技術的にかなり無理があることと思う。
 以前このように書いたが、それは「こだま」のように3駅に連続して停車する列車を想定したからだ。3つの駅を造っても、停車駅の多い列車が東京名古屋間を直通する列車の設定を妨げない方法はないのか。

 それは、わりと簡単なこと。長野県内に1駅しかないなら、毎時2本停車しても問題は少ないだろうと仮定する。これを、3つの駅のどれか1つに停車する列車が毎時2本なら問題が少ないと言い換える。これなら長野県内に1つしか作らなかったことと同じになる。

 つまり、諏訪、伊那、飯田の各駅に1時間半に1本ということ。一日に列車が走る時間帯を16時間として、一日上下各11本ほどの停車ということになる。あるいは、駅圏人口の多さや松本、塩尻といった後背地を抱える諏訪に毎時1本、伊那と飯田に2時間に1本という設定もあり得る。現在のJRの特急や高速バスを考えると、その方が現実的かもしれない。駅3つを造る費用を度外視して、この列車設定の条件が受け入れられれば、駅を3つ造る可能性が出て来ることになる。

 これは、ちゃんとした技術論抜きで、既存の新幹線の実態から想定したものに過ぎない。だから、そもそもリニア中央新幹線で毎時2本、停車駅の多い列車が設定できるのか、中間駅の適正な数はいくつなのかといった問題は何も分かっていない。これらの点について具体的なシミュレーションがあれば、議論がより進むことになる。そうすれば、「遅延5分程度」が許容されたという前提で、数千億という資金を長野県が自主投入する価値があるかどうかもまた判断が可能になる。


 以上その1で触れたことも含めて、Bルートを実現するには「建設費の支出」「用地買収への協力」「所用時間遅延の許容」と数は少ないがかなり高いハードルをクリアした上で、「3駅で片道1時間に2本」という本数を受け入れなければならないと自分は考える。

 長野県知事および関係者は、問題の難しさをどこまで自覚しているだろうか。自分には、政治的な駆け引き、繰り返しの陳情などでどうにかなる・・・とはとても思えないのだが。


 以上で、10月末以来一連の問題についての考察は一段落と思っている。この件について、自分は特に注目しているので、今後もなにか動きが有れば随時コメントしていくつもりでいる。

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コメント

 このニュースに対する貴殿の考え方に私も多くは同じ考えであります。感心いたしております。しかし、今回の出来る可能性の中で半径8000mを良しとしておりますがこの点は受け入れられません。なぜなら、開業当初は500km/hであるかも知れませんが、将来の600km/h以上になる可能性まで奪う事になります。距離が延びることによるエネルギー消費とメンテナンス費は将来にわたり無駄になるのです。
 また、途中駅停車についても、鉄輪と違い待避線への切り替えに時間が掛かりゴム輪低速走行は後続の500キロノンストップタイプの邪魔になります。そして、運転間隔を空ける必要から輸送力に限界が生じます。以上の理由によりリニア新幹線は直線志向しか受け入れられないかと思います。

投稿: SATO | 2008年11月11日 14時33分

SATOさん、こんばんわ
コメントありがとうございます。

おっしゃるように、途中駅の設置には無理がいろいろ予想されます。
ポイントの切り替えが鉄軌道に比べて大変そうというのは想像できます。
一方で、鉄輪ではないので従来の新幹線よりも高い加減速を実現できそうに思います。
といいながら、そもそも論として半径8kmの曲線上に駅が造れるのかという問題もありそうですが・・・

>距離が延びることによるエネルギー消費とメンテナンス費は将来にわたり無駄

これは、かなり重い命題ですね。
Cルートを採って300kmに満たない延長に50km余り、2割近い迂回をさせようとのは、「無駄」というシンプルな言葉に容易に反論できません。


投稿: 武藤 臼 | 2008年11月12日 00時09分

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