« 今年も大河ドラマが | トップページ | 1995年アジア紀行〈ポカラ〉 »

2009年1月 5日

今週のシュトヘル

 西夏とモンゴルが戦うところから始まった。前号の終わりからどのくらいかは不明ながら時間を遡っている。

 勝州
 今号で舞台になった街のひとつ勝州城。1209年とあるので、西夏滅亡までにはまだ時間がある。モンゴル帝国史(平凡社 東洋文庫)には、この年の秋にチンギス=カンが西夏を攻めたことが書かれている。その中にウラカイという城を攻め落としたとあるが、これは119ページに載っている地図の「本隊」と書かれた主力の侵攻上にあったと考えられる城の名前。

 物語では、分隊が勝州城を攻めたことになっているが、モンゴル帝国史や元史には「勝州」の名前はでてこない。

 102ページに勝州の位置を書いた地図が載っているが、中国では黄河が屈曲する部分の内側、北東部の黄河に近い場所にあったとする考え方が一般的なようだ。それを根拠がないと書いている論文もある。この地図でのプロット位置が、何に拠っているのかちょっと興味がある。


 文字
 ここでは西夏文字のこと。前回よりも少しだけ多く西夏文字がでてくる。何か所か紙片に書かれたものが出て来るが、117ページのものが一番大きい。田の字に並んだ4文字のみほぼ字形が分かるものの、左上と親指で一部隠された右下の文字は辞書で確認できるものの、ほかの2文字は見つけられなかった。なにか実物を書き写している可能性があるので、間違いと断言できるほどの情報を持っていない。

 寺院で拾ったと思しき断片なので、お経だろうかと思ったが、2文字だけでは判断でききなかった。


 興慶
 西夏の都を指して興慶と書いている。西夏の都は最初興慶府と呼ばれていたが、後に中興府と改めたとされている。いくつかの本を見てみると、名前が変わった時期については見解が別れている。元史にも中興府とある。

 併用されていた可能性はないのかどうか、完全に否定する自信もない。宿題がまたひとつ。


 勅燃馬牌
 早馬の使者が所持したものと考えられている銅製の牌。1988年の「敦煌・西夏王国展」の図録に写真と解説が載っている。高さ18.5cm、直径14.7cmとのこと。


 「文字」という台詞が何度か登場する。西夏文字の露出は高くなるということだろうか。

 正月休み態勢ということで、次号は19日、二週間後の発売。


◆◆◆
 毎週なにかコメントできるかどうかはわかりません。多分不定期になると思います。基本的にストーリーの解説はしない予定です。雑誌に目を通されているという前提で、気になったことをいくつかピックアップして少しコアな話題を添える、今日の様なスタイルを考えています。

|

« 今年も大河ドラマが | トップページ | 1995年アジア紀行〈ポカラ〉 »

西夏史」カテゴリの記事

コメント

私も基本的に西夏文字についてのみコメントさせていただきます(笑)

今回は一気に文字が登場しましたね!

117ページ目の断片は「敦煌・西夏王国展」図録p. 116の図版85として掲載される仏典断片が元ネタだと思います。
若干画数が足りないかもしれませんね。
原寸を考えると文字のサイズはやや大きめかも?

勅燃馬牌のトレースは見事ですね。
右上の字の「コ」のような部分がこのような「エ」のような筆画になるのがこの資料の特徴ですが、よく再現?されてますね。

投稿: 某勉強会会長 | 2009年1月 9日 21時48分

某勉強会会長さん、返事が遅くなりました。

図版確認しました。
甘肅省博物館所蔵の西夏文経画の内の1点とのことですね。右隣の文字の偏も一致します。
田の字形4文字の右2つが4行目上段の5文字の最初の2文字、左2つがその左の行の7文字の最初の2文字ですね。

不肖な弟子です。釈字して直訳までと思いましたが、釈字だけでいっぱいいっぱいでした^^
漫画の多少の誤写は大した問題じゃないなともおもいましたが、それでも右上の文字の縦棒は単行本化の際には追加して欲しい気がします。

楷書とはいえ、今まで講義で見たきたものよりは少し癖のある書体。しかも文字数の多い人偏の字が多いのも大変。旁から引くタングートディクショナリーがかなり役に立ちました。

夏漢字典の番号で、5文字の方を順に2091,0140,3506,4531,0837、7文字の方を2098,3133,0433,3175,2590,2776,2098と読み取りました。

5文字の行の方が自分的には自信がないです。7文字の方の行は、最初と最後に「我」とあるのは、西夏語らしくこの7文字で完結した一文でしょうか。自分の釈字が間違ってなければ間に助詞がありますが、これが上手く訳せません。

まだまだ勉強たりません。この断片にある判読可能な50文字程度をある程度釈字して、詳細な訳とまでいかなくても、何に関わる文書かが分かる程度にはなりたいです。

>原寸を考えると・・・

紙片が縦18.6cmとあります。計算してみると文字ひとつで1cmくらい。子供の親指くらいと考えるとほぼ実寸じゃないでしょうか。

投稿: 武藤 臼 | 2009年1月11日 19時13分

コメントがたいへん遅くなりましたが、5,7文字ともに全ての番号は正解?です。
ユルールが押さえている文字の意味が「極楽」というのが切ないですね・・・
内容は仏典ですが、西夏語文法の知識がないと解釈が困難かもしれません。
この断片、動詞接頭辞、接尾辞、格標識、動詞の格標示用法(いかん。マニアックになってきた)などが確認できて、非常に良いテキストです。
ぜひ勉強会で読みましょう!

>文字の原寸
そうですね。子供の指ならそのくらいかもしれませんね。
私は文献を実見するとき、できるだけ縦横のサイズを記録するようにしています。
西夏文字文献、特に仏典だと1.2センチ四方のものが多いようです>文字サイズ

投稿: | 2009年1月25日 12時59分

調べていただきありがとうございます。

小さなテキストですが、なかなか盛り沢山なのですね。
次の勉強会楽しみにしておきます^^

投稿: 武藤 臼 | 2009年1月25日 16時02分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/162739/43653748

この記事へのトラックバック一覧です: 今週のシュトヘル:

» 話題の「シュトヘル」読んだ [突厥が好き!掲示板]
どうでもいいことですが、一度に5本の矢を射て5人に当てる、というところを見て、思 [続きを読む]

受信: 2009年1月11日 14時07分

« 今年も大河ドラマが | トップページ | 1995年アジア紀行〈ポカラ〉 »