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2009年2月23日

今週のシュトヘルより「玉音同」

 今回から表題を少し変えてみます。


 今週号は、ここ数話と違って話題盛り沢山。いろいろと資料に当たらないと語れないことが多いので、自分が解説できそうなことをいくつか、数回に分けて書いてみようと思う。

 今日は、今回第8話のタイトルでもある玉音同について。さて「玉音同」ってなんだろうと資料をひっくり返しても、自分がもっているものには載っていない。

 西田龍雄先生が書かれた西夏文字についての本をいくつか見てみると、同音という西夏文字の音韻について西夏人によって書かれたものが重要な資料の一つとして紹介されている。字典の一種だが、意味を調べるものではなくて音を調べるためのもの。

 西夏文字では、形容詞が後置されるので、「音同」と「同音」は同じものではないかと思う。中国の研究者のものをいくつか見てみると、実際に「同音」とあるべきところに「音同」と書かれているものが少数ながら見つけられる。


 今号に出て来る「玉音同」とは、その音韻の字典を玉の板に刻んだものと思われる。誌面を見ると、この「玉音同」は縦書きなのか横書きなのかも良く分からない。しかし、夏漢字典を引いてみると228ページ右上の釈字可能な2行7文字が、いずれも音価が「bji」となっているので、音韻字典を意図しているのは間違いない。

 また、この「玉音同」は9枚の玉板からなり、1枚に654文字、9枚で5886文字とある。この数字の出所にも興味がある。「同音」には6133の西夏文字が載っているという。また夏漢字典には、6074文字が掲載されている。


 ちなみに、玉音同が入れられていた小さな塔のようなものは、木縁塔と呼ばれているもので、「シルクロードの美と神秘 敦煌・西夏王国展」図録には、表面に書かれている梵語まで同じものが掲載されている。高さが75cm、幅が47cmとのこと。


 次の掲載は、3月30日発売号。ひと月以上間が開くが、3月末に単行本が発売になるとのことで、最近よく見られる単行本化準備のための休載だろうか。


<参考>
 「シルクロードの美と神秘 敦煌・西夏王国展」図録(1988年)

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コメント

今回は怒涛の文字ラッシュでしたね!

おっしゃるとおり、内容的には「玉・音同」ですね。
逐語訳なら「音同」、形容詞的に訳する研究者は「同音」と呼びます。中国でも二派?に分かれます。私は「同音」派です(笑)

228ページ右上からの文字列もおおよそその音価です。
「同じ音」の文字の連続から、縦書きで連なること、そしてこの部分が「重唇音(上下の唇を合わせて発音する音)」の部冒頭であることが分かりますね。

次に『同音』の総字数に関してです。
この書物の冒頭の序(西夏文で書かれる)に記載される数字が概説などに書かれることがありますが、実際の残存数はもっと少ないようなのです。
(同音は二種類の版本ともに欠損があるため、本当の総字数がカウントできない、という問題もありますが)
仮にページを復元すると、6000字以下になります。
玉音同はもちろんフィクションでしょうが、枚数に合わせた設定なのでしょうね>5886字
その後、後代に誕生した字、研究者が認めた異体字を含めれば6000ちょいという字数でしょうか。

今宵はとりあえずここまで(恐縮)

投稿: 某勉強会会長 | 2009年2月24日 22時46分

某勉強会会長さんこんばんわ
解説ありがとうございます。

なるほど、西田先生をはじめ一様に6133字と言われているのは、序文によるということなのですね。

夕べの時点ではあわてていたのか、見落としていましたが、「シルクロードの美と神秘 敦煌・西夏王国展」図録にも断片ながら写真が掲載されていますね。ロシア科学アカデミー蔵以外にも中国で収蔵されている分もあるのですね。
図録には「音同」と書いてありますが、漫画はこれに合わせたということでしょうか。

投稿: 武藤 臼 | 2009年2月24日 23時32分

西夏を調べここに辿りつきました。
ありがとうございました!

投稿: 白い恋人 | 2009年4月12日 00時00分

白い恋人 さま
コメント頂きありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。

投稿: 武藤 臼 | 2009年4月12日 19時23分

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