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2009年2月16日

今週のシュトヘル

 今週号、第7話。ここ数話、触れられるような話題が無く、今号でも既出の西夏文断片が出てくる程度。歴史的な話題も少ないのだが、以前に触れた西夏の都興慶府のことについて、今号を見ながら少し書き足す。

 井上靖の小説を原作とした映画『敦煌』では、三田佳子扮する西夏人が西夏の都のことを「イルガイ」と呼んでいる。これは、モンゴルの歴史書のひとつ『蒙古源流』の中に出て来る言葉。残念ながら、「イルガイ」が西夏語の音写なのか、トルコ=モンゴル側からの西夏語とはあまり関係のない呼名なのか、自分には判断できない。

 チンギス=ハンの伝記『モンゴル(元朝)秘史』では、西夏の都を「エリカヤ」と書いている。響きが少し違うが、元は「イルガイ」と同じものだったと想定できるだろう。


 今号は、もう一人の主役という雰囲気でモンゴルの皇子というユルールの話。ユルールもまた西夏の都興慶府へ向かうという。彼は、その血筋に謎があり今後の展開に関わるということのようだが、母親が西夏人、父親がトルコ=モンゴル系らしいということであれば、両方の言葉を話せて物語の語り部としてなかなか都合が良い。

 とはいえ、今の所属がモンゴルであるのだから、彼の台詞としての「興慶」には、振り仮名として「イルガイ」あるいは「エリカヤ」と書いて欲しかったと思うのだが、いかがだろうか。


<参考>
 モンゴル秘史(村上正二訳注、平凡社 1976年)
 蒙古源流(岡田英弘訳注、刀水書房 2004年)

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