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2009年4月 1日

シュトヘル 1

BCS2529
シュトヘル 1
伊藤悠 著
ISBN978-4-09-182529-2
小学館 2009.4

 昨日発売になったシュトヘルの第1巻。西夏がモンゴルに滅ぼされようとしている時代の西夏文字を巡る物語という、当ブログのためにあるような希少な物語を描いている。ビックコミックスピリッツに不定期で連載中。

 物語の背景では、ある程度事実に近いと思われる歴史を追っているものの、登場人物や語られているエピソードは大半が架空のもの。西夏文字が時々大量に出てくるので、勉強にちょうど良い。


 ざっと見て気になった所を紹介する。連載時と比べて明確に修正されているところはあまり見つからなかったが、興味深いところが一か所あった。それは、以前紹介した玉音同についてのところで、見開きページ(単行本では206ページ)に玉板に記されたという西夏文字が書かれている部分。そこには、連載時との違いで面白いか所が2つある。

 ひとつは、右上端。もともと原稿に書かれていて、連載時には断ち切られてしまったということかもしれないが、そこには縦に5つの西夏文字が書かれている。文字の右半分が切れてしまっているものの、文字詰めが他と異なることから、見出しかなにかと思われた。可能性のありそうな文字を引きながら、字典に引用されている文章に当たった所「重唇音一品」と書かれたものを見つけた。重唇音は、p、ph、b、m音の子音のことで、その左に並んでいる西夏文字がbで始まるものであるので、「重唇音一品」で正しいと思われる。

 もうひとつは、字典に並べられている西夏文字のところどころに小さな丸が書き加えられていること。実際の音同(あるいは同音)の上に書かれた記号を写したものと思われるが、残念ながら該当する音同の部分の文面が解らないので、どういう意味があるのかは解らない。


 カバーとカバーの内側部分に、同じ西夏文字2文字が書かれている。これは、以前紹介した主人公の名前ウイソである。

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コメント

1巻読みました。ユルール君には妙に共感するところがありますね。タイムスリップ(?)した主人公より余程身近に思えます。
まだまだ話は序盤な感じですが、ニッチなところを扱っているだけに、半端に打ち切られたりしないよう祈っております。
ところで、チンギスはろくでもない人物に描かれてますね。

投稿: NAGAICHI Naoto | 2009年4月 3日 22時15分

よくお気づきになりましたね!>修正点
後者の「○」は「圏点」と呼ばれるものです。
『同音』(私はこう呼ばせていただきます)は同音(同一音節)の文字群(同音異字)を整理して並べた字典です。
「ここからここまでが同じ音の文字」ということを、この圏点で示すわけです。
残念ながら、「いろは歌」や「千字文」のように、文字をつなげて読んでも意味は成しません…

投稿: 某勉強会会長 | 2009年4月 4日 00時04分

Nagaichiさん
こんばんわ
西夏文字に焦点をあてて行くと、どのくらい盛り上がるでしょうか^^
打ち切られないように期待したいですが。。。
チンギスはいずれ出てくるんですかねえ
今のところ、近寄り難い存在って感じですが。


某勉強会会長さん
こんばんわ
はい、一生懸命探しましたので(笑)
「圏点」について説明いただきありがとうございます。

投稿: 武藤 臼 | 2009年4月 4日 18時36分

チンギスは顔隠れてましたけど、「もう弓は引かぬことだ」とか言って指食ってたのが強烈でした。ユルールと同じぐるぐる目らしいですが。

投稿: NAGAICHI Naoto | 2009年4月 4日 19時17分

Nagaichiさん

一か所出ていましたね。
すっかり忘れてました^^;
まったく化け物扱いですたね。

投稿: 武藤 臼 | 2009年4月 5日 16時31分

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