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2009年4月13日

西夏語勉強会

 今年2回目となる西夏語勉強会へ参加した。いくつか取り上げられたテキストの内のひとつが、以前某勉強会会長より指摘を頂いた西夏文の仏典断片で、シュトヘルの中にその一部が登場している。単行本の1巻だと、69ページでユルールが左手に持ってしげしげと眺めているもの。マンガでは、4文字だけが焼け残っているという小さな断片だが、実物には64文字が残っている。

 この内、ユルールの親指の右側にある2文字が、5文字からなる1文の最初の2文字。漢字の逐語訳を並べると以下ようになる。

 極楽高賛頌

意訳すると、「極楽について(言葉を尽くして)高らかに褒め讃える」といったところ。次の行より始まる文章のタイトルであるらしい。西夏語への訳の元になったお経がなにかは不明ながら、仏典の一部であるらしい。


 ユルールの親指の左側にある2文字は、この「極楽」についての文章の冒頭で、7文字よりなる一文の最初の2文字。同様に漢字に置き換えると次のようになる。

 我今以帰〔接頭辞〕救我

3文字目が助詞、5文字目は完了を表す動詞接頭辞。意訳すると「私は、今(仏に)帰依したので救済された」となる。最初と最後に「我」が繰り返されるのは、チベット系などの言葉に見られる特徴とのこと。


 以前に、某勉強会会長よりコメントを頂いていたように、ユルールは極楽浄土を称揚する文章の冒頭の部分を握っていたことになる。それで「切ないです」というコメントだったことになるのだが、このシーンにこの断片が挿入されたのは、偶然なのか、それとも意図されたものだろうか。


<参考>
敦煌・西夏王国展 図録
(映画「敦煌」委員会 1988年)

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コメント

長時間の勉強会、お疲れ様でした!
短い断片ながら、文法要素盛りだくさんの西夏文でしたね。
助詞の多い西夏文は漢字の逐字訳が難しいのですが、大体お書きになった通りだと思います。

「我」や「汝」のような人称代名詞が動詞の後に繰り返される現象を、「人称代名詞の呼応」などと言います。
チベット語そのものには見出せませんが、チベット・ビルマ語派に属する少数民族語によく確認される言語現象ですね。

投稿: 某勉強会会長 | 2009年4月13日 22時57分

某勉強会会長さん
どうもありがとうございました^^

解説ありがとうございます
「人称代名詞の呼応」ですか
ちゃんと覚えておきます^^

投稿: 武藤 臼 | 2009年4月14日 00時38分

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