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2009年7月25日

リニア中央新幹線 2009年上半期 長野県知事会見より その2

<今までのエントリー>
 リニア中央新幹線を諏訪へ
 リニア中央新幹線と長野県
 リニア中央新幹線 Bルートが無理なわけ
 リニア中央新幹線 知事の質疑応答ほか
 リニア中央新幹線 Bルートが実現する可能性 その1
 リニア中央新幹線 Bルートが実現する可能性 その2
 リニア中央新幹線 2008年12月の動き その1
 リニア中央新幹線 2008年12月の動き その2
 リニア中央新幹線 2009年1月の動き
 山梨でリニア学習会
 リニア中央新幹線 2009年5〜6月の動き
 リニア中央新幹線 ルート別の試算公表
 リニア中央新幹線 飯田市議会で決意案
 リニア中央新幹線 2009年上半期 長野県知事会見より その1


 その1に引き続いて、長野県の公式サイト内、知事会見録2009年上半期分のリニア新幹線に関わるものの中から、中身のあるものを取り上げ解説、評価を加えてみる。

 以下は、6月18日分にあるもの。同日JR東海よりルート別の工事費試算が公表されており、その内容を前提にしたものとなっている。関連の話題については、6月20日のエントリーに纏めてある。


 まず、6月県議会定例会開会、リニア中央新幹線のルート別工事費の公表について。この知事からの説明について、要点は以下の3つ。

 ・今回示されたものというものは、あくまで一部のデータの概数
 ・輸送需要量なども含めて客観的、総合的にデータを吟味・検証していく必要がある
 ・客観的なデータの他にも全国新幹線鉄道整備法にある地域の振興という観点からも議論が必要


 JR東海の公表資料がかなり簡単なものであることは、6月20日のエントリーの中でも触れた。ここでは、その部分を強調してさらにデータが必要とした上で、データ以外の部分として「地域の振興」も重要であるとする。

 この「地域の振興」という話について、「かねてから申し上げていること」と前置きしている。昨年の秋にまで遡って知事会見録を見返してみたが、リニア中央新幹線の話題の中には「地域の振興」という言葉は出てこない。ただし、長野県のサイト内にある信州・フレッシュ目安箱に寄せられたリニア中央新幹線についての提言に対する回答には、

 新幹線鉄道整備は、首都圏を短時間で結ぶ機能だけではなく、国民経済の発展とともに地域振興に資することも目的としており(一例として2009年2月9日回答
という一文が繰り返し添えられていて、知事の見解かどうかはともかく、長野県としては以前から強調してきた言葉であることはわかる。

 しかしながら、「地域の振興」を盾に従来の主張を繰り返す事は限度を越えており、いたずらにだだをこねていると捉えられかねない。このことは、再三ここで述べてきた。


◆◆◆

 次に、リニア中央新幹線について(1)。質問者は信濃毎日新聞の記者ながら、いつもとは違う人が行っている。以下やり取りの要点を纏める。


 【記者】BルートとCルートの差額6400億円について知事はどう受け止めるか。

 【知事】よく分からないとしか言えない。

 【記者】Bルート実現を目指している県側としては、どうやって理解を得ていく方向なのか。

 【知事】Bルートに合意を形成したところへCルートがボンッと出てきた。その為いろいろ問題が出てきているが事業主体はJR東海であり、アイデアがある訳ではない。JR東海から説明を聞いて情報を共有するようにしたい。

 【記者】所要時間の差について、知事は10分もかからないだろうという見方をされていた。7分位と示されたがこれについてはどうか。

 【知事】よく分かりません。何とも申しかねます。

 【記者】今後県としては、どういう形で話し合いを進めていくのか。

 【知事】明確な決意を私自身持っていない。Bルートで手間をかけて合意を形成した。中央新幹線の実現のために運動を重ねてきた。どうやって調整したらいいのか私も悩んでいる。当初、長野県に対して直接何の話もなく、いささかの不快感だった。できるだけ情報を共有して、どのような形で調整ができるのか、地域のさまざまな期待もおさえながら努力をさせていただきたい。

 【記者】6400億円ていう差について知事としてはどういうふうにお考えか。

 【知事】評価のしようがない。巨大事業は、当初想定された金額から膨らむケースが多いし、ずいぶん振れる。今の段階では楽観的な数字がCルートの場合であっても出されているのではないか。そういうことも含めてよく分からないとしか言いようがない。


 信濃毎日新聞の記者が代わり、あきらかに質問が明快になっている。しかしながら知事の回答は歯切れが悪く、Bルートへ一本化した事を繰り返すほか、分からないと言い切るなど内容の無いものとなっている。JR東海が示した資料が薄いものとはいえ、一応ながら示された数字に対してこの一連の回答では、意図的にJR東海の数字を軽く見なした上で逃げようとしているとしか自分には評価できない。

 質疑の中で記者が「理論武装」という言葉を使っているが、長野県は主体的に理論武装していかなくては、事態収拾に対して一定の役割を果たすことはできないだろう。


◆◆◆

 ついで、リニア中央新幹線について(2)について。質問者は中日新聞記者。

 【記者】各地区での説明会で、知事にBルート推進として、(あるいは?)JRとの調整においてリーダーシップを取ってほしいという声もあった。どう受け止るか。

 【知事】 それは一つの意見。いろいろな意見があると承知している。私は、Bルートというコンセンサスが一回できたことを押さえ、相談をさせていただくしかないということを繰り返している。よく事実を押さえ、それで事業推進のために議論を重ねていくという手続が大事。


 あくまでもBルートをと念を押しているとはいえ、複雑化しつつある利害調整について主体的に役割を果たす予定は今のところはないと言っているのに等しい。また、前提条件が崩れている現状で「Bルートというコンセンサス」と繰り返すこと自体が無策に過ぎる。

 中央新幹線の事業の大きさ、諏訪上伊那vs飯田下伊那という構図、問題の複雑化を「長野県」(行政として、エリアとしての両方を含めて)の問題と評価されている現状などを考えれば、県として主体的にすべきことは沢山あるはずである。


 7月分の知事会見録が既にアップされているが、これについてはまた日を改めて検討する予定。

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