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2009年7月20日

リニア中央新幹線 2009年上半期 長野県知事会見より その1

<今までのエントリー>
 リニア中央新幹線を諏訪へ
 リニア中央新幹線と長野県
 リニア中央新幹線 Bルートが無理なわけ
 リニア中央新幹線 知事の質疑応答ほか
 リニア中央新幹線 Bルートが実現する可能性 その1
 リニア中央新幹線 Bルートが実現する可能性 その2
 リニア中央新幹線 2008年12月の動き その1
 リニア中央新幹線 2008年12月の動き その2
 リニア中央新幹線 2009年1月の動き
 山梨でリニア学習会
 リニア中央新幹線 2009年5〜6月の動き
 リニア中央新幹線 ルート別の試算公表
 リニア中央新幹線 飯田市議会で決意案

 ここでは、長野県の公式サイト内、知事会見録の中から、2009年上半期分のリニア中央新幹線に関わるものについて、中身のあるものを取り上げ解説、評価を加えてみる。


 2月13日分よりリニア新幹線について(1)について。

 ここでは、信濃毎日新聞の記者からJR東海がCルートを選択したことについて意見を求められている(この質問の前提として、同紙によるJR東海社長へのインタビューの話が紹介されているが、全体を通して何を聞きたいのか良くわからない。その点知事からも指摘されて言い直しているが、その結果知事が採った解釈にも疑問がのこる)。この質問に対する知事の回答について以下に要点を纏めた。


 JR東海は研究の結果として十分な情報を持って、「Bルートではなかなか進まない」「Cルートでしかやりようがない」と結論したと思われるが、結論だけ示して同意を求められても知識も情報も無いので同意できない。

 JR東海は、Bルートがなぜ難しいのか説明しなくてはいけない。全国新幹線鉄道整備法であれば国の補助を受けて(Bルートが?)できたがそれでは時間がかかるから、早期実現のためにCルートというのは簡単で分かりやすく見える。しかし(JR東海は?)もっといろいろ言う必要があるのではないか。

 JR東海が、吟味に耐えるだけのデータ持って地道な説明をされることを期待している。


 以上について、JR東海が単独で事業を行う場合Cルートが有効であることを知事は十分に認識しているように読み取れる。この点は記憶しておいて良いと思う。JR東海がもっと説明すべきという点について、自分はJR東海の義務とは思わないが、先のルート別の試算公表の結果(6月20日のエントリー参照)を見る限り、できるだけ情報を出す方が賢明であると考えている。

 ただし、一連のエントリーの中で書いてきたように、JR東海がCルートを選択した時点でBルートの実現はほぼ不可能である。また、全国新幹線鉄道整備法を盾にしたところで、「国民経済の発展」「国民生活領域の拡大」「地域の振興」という「新幹線鉄道網の整備」の3つの目的の1つを持って6400億円を引き出すのはやはり無理がある。

 このような状況の中で、「知識も情報も無い」とJR東海の説明を待ち情報を引き出すことを目指すというのは、受け身に過ぎると自分には思える。長野県自らJR東海に対して数字を示すような努力をしないかぎり、Bルートはおろかより些細な事についても、JRが示した事にだだをこねるか諦めて受け入れるかの選択肢しか残らないのではないだろうか。


◆◆◆

 次に、6月10日分よりリニア中央新幹線について(1)について。

 これは、マスコミによって「それで事業が進むのか!」リニア1県1駅構想で長野県知事(産経新聞 6月10日)などと報じられ、非難を集めた部分である。質問者は、なぜかいつもと同じ歯切れの悪い信濃毎日新聞の記者。記者と知事のやり取りついて以下に要点を纏めた。


 【記者】中間駅は1県1駅が適当というJR側の発言をどう思うか。

 【知事】(新しい)ニュースとは受け止めていない。いままでのことを繰り返されただけ。

 【記者】知事は以前「長野県の場合は大きな県だから複数の駅も」と言っていたが。

 【知事】リニア中央新幹線の運営者としては、東京と名古屋と大阪だけ飛ばせればいいので、通過地点は経営的にプラスではないと見ていることは理解はできる。「ただ、それで本当にうまく事業が進んでいくのでしょうか。」まだまだ初期の段階。とりあえず承っておくと言うにとどまる。

 【記者】昨日からは諏訪ほか4箇所で説明会が行われているが、知事としての意義、受け止めを。

 【知事】(地元の)関係者にとって、報道だけではなく、直接事業をJR東海から説明を受けることは大事な過程。こういう形で事実上いろいろなやり取りが始まっていくことは非常に結構なこと。


 まず報道された部分について。知事の回答2つ目の中程にあるが、ここは原文ままという意味で「 」に括ってある。上にリンクした産経新聞の記事と並べてみると以下のようになる。

 それで本当にうまく事業が進んでいくのでしょうか。(知事会見録)
  ↓
 それで事業が進むのだろうか(産経 記事本文内)
  ↓
 それで事業が進むのか!(産経 記事見出し)

 知事会見録が、発言をそのまま載せている保証もないので1番目から2番目への変化は評価できないが、2番目と3番目の違いは産経新聞の編集と見て間違いないだろう。程度の大小はともかくとして、脚色と見る事は可能と考える。

 産経新聞の記者が、当日の知事の語調を聞きながらその雰囲気を再現した可能性はゼロではない。しかしながら、質疑応答の全体の流れの中から考えれば、この一文を少し強調しすぎていると自分には思える。また、2番目の発言の最後の部分および3番目の発言を見る限り、知事はまだ道程の中であって多くはこれから、という点を強調したいようにも見られるが、そのニュアンスは産経の記事からは伝わってこない。

 次に知事の発言の中身についてだが、現状について簡単な評価をしているだけで目新しい中身はない。件の発言については、「通過地点の協力もなくては事業はすすまないでしょう」と解釈して差障りは無いだろう。


 なお、知事会見録については動画、音声での視聴が可能なようだが、自分の環境ではどちらもできないので、興味のある方は直接当たられたい。

 少し長くなったので、6月18日分について稿を改める。


<追記> (7月20日)
 上記の一番最後で触れた知事の会見について、6月17日のエントリーの中で

 「理解できるが」が「進むのだろうか」という「疑問を呈した」という文脈が自分には理解し難い。
と評価した。これについて、上記の内容では自分の評価に何もつながりを取れていないので以下に少し書き足す。

 知事の発表内容を改めて整理し直してみると、知事の発言を「通過地点の協力もなくては事業はすすまない」と言い換えるのは妥当というのが上記最後の部分の内容で、文脈として違和感なく、この部分だけ捉えれば理はあると言うこともできる。

 また、この部分には「Bルート」「Cルート」という言葉が出てこないので、純粋にルート沿線の理解を得ながらという意味に捉えれなくはないものの、同日の一連の発言の中にJR東海が1県1駅という考えを示した事が述べられていることを考えれば、やはりこの「通過地点の協力」の為には「Bルート」という地元の意思が含まれていると解釈されても仕方がないだろう。しかしながら、「Bルート」を含めるのはやはり行き過ぎである。

 こうして読み返してみると、Bルートの評価についてJR東海と長野県の間の大きな隔たりを改めて見せられたように思う。その点長野県知事は、本当にJR東海の評価を「理解でき」ているのだろうか。この意味においては、知事の発言について「文脈が自分には理解し難い」と評価することは、さほど間違っていなかったように考えている。

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コメント

突然のコメント失礼致します。
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もしよろしければ、こちらのページから相互リンク登録していただけましたら幸いです。
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今後ともよろしくお願い致します。
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投稿: sirube | 2009年7月20日 17時45分

sirube様こんばんわ
コメントありがとうございます

当ブログのリンクは、歴史関係および旅行関係に限っています
また、一連のリニア新幹線についてのエントリーは
行政を中心とした長野県の動きを追っているものであって
記者についての話はちょっと目についたので余談として載せた物に過ぎず貴サイトの企画に必ずしも沿うもではありません

申し訳ないのですがお誘いは辞退させていただきます

投稿: 武藤 臼 | 2009年7月21日 02時17分

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