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2009年7月19日

シルクロード 文字を辿って

 先週から9月初めまでの予定で京都国立博物館で開催されている特別展、シルクロード 文字を辿って---ロシア探検隊収集の文物を見に行ってきた。概要は、京都国立博物館のサイト内の特別展覧会の案内にあるように、19世紀から20世紀初頭にかけて、ロシアが東トルキスタンから敦煌、カラホトにかけてを調査、探検した成果として、サンクトペテルブルクのロシア科学アカデミー東洋写本研究所に所蔵されている文物の中から文字資料を並べたというもの。

 カロシュティー文字で書かれたガンダーラ語、ブラフミー系の文字で書かれたサンスクリット語、サカ語、トカラ語、ソグド文字、チベット文字、ウイグル文字、西夏文字、漢文と130点近い資料が並ぶ。また関連として、京都博物館などが所蔵する西魏からモンゴル時代にかけての招来された漢文資料を展示したコーナーもある。


 話としてや様々な書籍の中身として見聞きした物の原典が、沢山見られるという二度あるかどうかという展示である。樺皮文書や貝葉形式という形にしても、コピーなどで見たことはあっても実際に見るのは初めて。おもわず樺の皮であることをじっくりと確認してしまった。

 西夏文字については、カラホトのコーナーで2部屋を使っていて、漢文、チベット文もあるものの大半が西夏文字。朱書きで校正されているような『孝経』の西夏語訳、全長10メーター近い『大般若経』、西夏文字、西夏語を解読する上で重要な資料となってきた『番漢合時掌中珠』『文海』『五音切韻』など十分にボリュームのある内容。強いて言えば、『番漢合時掌中珠』について、いろんなページをもう少し眺めてみたかった。

 文字資料ではないが、19世紀末の東トルキスタンを描いたとペトロフスキーの地図、全幅11メーターを越える敦煌千仏洞全景図の2つが広いスペースを割いて展示されていた。いずれも自分には初めて知ったもので、前者は絵地図ではあるものの関係性が意外に正確で興味深く、後者は長大な敦煌莫高窟が奇麗な線画で描かれていた。


 全体として、貴重な展示であって興味深いには違いないのだが、何文字で何語が書かれているのかというあたりの解説は徹底されていない。とくに文字についてもう少し踏み込んだ解説があっても良いのではないかと思う。西夏文字や漢文はともかくとして、ブラフミー系の文字は、話題としては知っていても文字字典を片手に見比べることでもしないかぎり、「ふーん、そーか」という以上の感想が出てこない。もう少し工夫をしないと、最後にはみんな同じ物に見えてしまわないだろうか?

 もうひとつ余談を。前からソグド文字が縦書きなのか横書きなのか、自分には良くわからなかった。展示に添えられていた資料には横書き文字として紹介されていて、展示物の中にはどちらかというと横書きと見受けられるものがあるものの、敦煌文書中の『鸚鵡のジャータカ』など活字のように奇麗な書体で書かれたものを見ていると、どちらなのかさっぱり分からない。これって一定の見解があるのだろうか?


 特別展に会わせて土曜講座が開催されているが、今日時点で残り3回の内、8月22日以外は既に閉め切られている。。

 特別展の図録を購入。

特別展覧会
シルクロード 文字を辿って
---ロシア探検隊収集の文物
京都国立博物館 2009.7

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西夏史」カテゴリの記事

コメント

こんにちは


この展覧会は興味深そうですね!
私はまだ見ていませんが、八月に見に行こうと思います。
 特別展の図録なんですが、文字や言葉に就いての解説がありますか。 値段は幾らでしたか。

投稿: 杏桃来春 | 2009年7月24日 20時12分

杏桃来春さん
こんにちは
コメントありがとうございます

図録には、ロシア探検隊についてはかなりのページを割いて解説してますが、文字や言葉について、例えばトハラ語って何?とか、中央アジアブラーフミーって何?とかは全く解説ないですね。
文字言葉の展示ではなくて、探検隊についての展示ってことなんですねえ。

図録の値段は、すいません忘れてます^^;
2000円か2000円弱だったとはおもいます。

投稿: 武藤 臼 | 2009年7月25日 08時38分

こんにちは


お返事ありがとうございました。
展覧会見に行ったとき、私もその図録買おうかなとちょっと迷っていますね。
文字や言葉に就いて解説があったらいいなぁと。

投稿: 杏桃来春 | 2009年7月25日 12時18分

改めてこんにちは


文字の件なのですが、
Gabainの古代チユルク語文典でブラフミー文字や維吾爾(ウイグル)文字等に一寸触れてありますが、参考になれると良いですね。

9頁~41頁迄。 言語はドイツ語です。
http://altaica.ru/LIBRARY/turks/gabain_AG.pdf

西夏文字なら、「音同」が此処からダウンロードできます:
http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/ho05/ho05_01900/index.html

投稿: 杏桃来春 | 2009年7月25日 13時14分

杏桃来春さん
こんにちは

西夏文字関係の資料という点ですと
中国からロシア蔵についても大量に出版されていますが
一個人としては買えるものでも、また消化できるものでもないので
雰囲気、触り、時に話の種としてはこの図録は十分に面白いものかなと思います。


音同については、リンク先拝見しましたが、これは見逃していました。
こういうのが利用できるとはありがたいことです。
これから活用させて頂きます。
ありがとうございます^^

投稿: 武藤 臼 | 2009年7月25日 14時34分

こんにちは

お返事ありがとう御座いました。
では、図録買ってみます。(^_^)v

復た西夏文字などに関する資料見つけたら、教えますね。
私も西夏文字(だけではなく、派生漢字、擬似漢字も)に興味が有って、よくネットなどで資料を漁っています。 

投稿: 杏桃来春 | 2009年7月25日 17時51分

杏桃来春さん
こんにちは
ありがとうございます

最近は西夏のことについて書くことが少なくなってますが
またよってください^^;

投稿: 武藤 臼 | 2009年7月26日 09時57分

ご無沙汰しています!
こちらは別の意味で文献漬けの生活を送っています。
帰国まであと10日。月末展示会に行くのが楽しみです。
こういうときこそ、現地?で勉強会番外編を行いたいのですが、海外の博物館と違って日本ではなかなか・・
休日平日にもよると思いますが、混み具合はいかがでしたか?

投稿: 某勉強会会長 | 2009年8月13日 01時46分

某勉強会会長さん
こんばんわ
遠路アクセスありがとうございます^^

私が行った日は大した混みではなかったですねえ

声の響きそな空間なので小声でも迷惑とか言われますかねえ?
西夏文字関連でも解説して頂けると
良いイベントだと思うのですが^^

投稿: 武藤 臼 | 2009年8月13日 02時29分

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