2010年4月19日

西夏語勉強会

 昨日、今年2回目となる西夏語勉強会が開かれた。1回目に私用で参加できなかったのでだいぶ間が開いてしまった。

 今回の教材のひとつが、昨年京都国立博物館で開催されたシルクロード 文字を辿ってに展示された「弦楽器図」。

 墨書された西夏文字は、数詞とそれ以外に分けられ、その内数詞の方が崩しの度合いが大きいとのこ。西夏文字の崩しの実例として解説して頂いた。

 また、そもそも描かれているものが何だったのかという点、書き込まれた西夏文字の釈字をはじめとして、短い時間ながら興味深い議論となった。


 荒川先生より『西夏時代の河西地域における 歴史・言語・文化の諸相に関する研究(アジア・アフリカ言語文化研究所/2010年)』を頂戴した。以下の5本の論文を集録している。ありがとうございます。

 楡林窟第29窟男性供養人像に見る西夏の官制---官僚登用制度を中心に---
  佐藤貴保

 ロシア蔵カラホト出土西夏榷場使関連漢文文書群録文訂補
  佐藤貴保

 敦煌石窟群調査報告---西夏支配期における敦煌石窟群について---
  向本健

 日本における西夏・タングート研究文献目録・続(稿)
  佐藤友則

 莫高窟・楡林窟・東千仏洞西夏文題記訳注
  荒川慎太郎

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2008年5月22日

ティムールとトクタミシュ

ティムールとトクタミシュ
---トクタミシュ軍のマーワラーアンナフル侵攻とその影響
北海道武蔵女子短期大学紀要40
川口琢司 著
ISSN0389-9586
北海道武蔵女子短期大学 2008.3

 1997年刊行の岩波講座 世界歴史11中央ユーラシアの統合(岩波書店)でキプチャク草原とロシアの章を書かれ、最近ではティムール帝国支配層の研究(北海道大学出版会)を出された著者の新しい論文。本の海のアストロラーベのちょくさんから送って頂いた。どうもありがとうございます。

 本論は、15世紀のハーフィズ・アブルーが残した歴史書歴史集成の中の第4章バイスングルの歴史精髄を中心に、ペルシャ語文献を用いてジョチ・ウルスのトクタミシュが中央アジアに攻め込んだ際のティムール朝の情勢を考察したもの。上に揚げた2書の間に位置するような研究だが、本論は歴史集成を元にした研究として前著の続編という位置づけであるとのこと。

 情報の少なく大変興味深い分野なので、前著のような論文集が世に出る日を楽しみに待ちたい。

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2008年5月13日

頂き物

平成17年〜19年度科学研究費補助金
 (基盤研究(B))研究成果報告書
内陸アジア諸言語資料の解読による
モンゴルの都市発展と交通に関する総合研究
研究代表者 松田孝一
2008.3

 3月の遼金西夏史研究会の折にお話があったのでお願いしたところ、松田先生より快くお送り頂いた。A4版258頁に下記のように10本の論文を掲載。かなりの重量物だが、近々に勉強させて頂きます。併せて、2005年から2007年までのモンゴルにおける調査記録を掲載したニューズレター03も頂戴した。ありがとうございます。


<掲載論文>
モンゴル高原における都市成立史の概略
---匈奴時代〜モンゴル時代---(増補版)
 松田孝一・白石典之

モンゴリアのイヘ・アスヘテ(Ikhe-Askhete)画像銘文の文献学的再検討
---2006/2007年夏の日蒙合同調査を通してみた---
 大澤孝

シネウス碑文テキスト再改訂版
 森安孝夫・鈴木宏節・齋藤茂雄・白玉冬・田村健

チンギス・カン前半生研究のための『元朝秘史』と『集史』の比較考察
 宇野伸浩

カラコルム三皇廟残碑とモンケ・カアンの後裔たち
 村岡倫・谷口綾

安西楡林窟のウイグル語銘文再読
 松井太

『勅賜興元閣碑』の再構
 松川節

モンゴル時代の帝師・国師に関する覚書
 中村淳

ヒジュラ暦748年イマーム・ユーヌス墓碑銘
 矢島洋一

モンゴル国シャルガ遺跡群出土遺物について
---陶磁器資料を中心にして---
 白石典之

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2008年3月30日

東京遠征の戦利品

 以下は、先日の東京遠征の折、研究会以外で頂いたもの、買ったもの、収集したものの記録。

アジア遊学 107
北東アジアの中世考古学
編集部 編
ISBN978-4-585-10358-5
勉誠出版 2008.2

 


中世の北東アジアとアイヌ
奴児干永寧寺碑文とアイヌの北方世界
菊池俊彦・中村和之 編
ISBN978-4-86215-038-7
高志書院 2008.3

 


選書メチエ 408
ゾロアスター教
青木健 著
ISBN978-4-06-258408-1
講談社 2008.3

 この三冊は、神保町での本屋巡りの収穫。神保町まで行って新刊ばかり。最近は、輸入書や古本はもっぱらネットで入手しているというのもあり、今回は掘り出し物なしでどれも買おうと思っていたもの。せっかくなので、研究会の折に一部著者の方からご署名を頂いた。

 

 次は、永田町、久しぶりの国会図書館。関西の分館は古いものが無く未収のものが色々とあり、西夏関係を中心に収集に走った。

「ゲルセ」---青唐吐蕃王国の王号---
 鈴木隆一
 安田学園研究紀要25号(安田学園 1985年)に収録

青唐阿里骨政権の成立と契丹公主
 鈴木隆一
 史滴4号(早稲田大学東洋史懇話会 1983年)に収録

青唐吐蕃カク廝ラ王家と青海諸部族の動向
---喬氏を中心として---(カクは口編に角、ラは口編に羅)
 鈴木隆一
 安田学園研究紀要26号(安田学園 1986年)に収録

 以上三編は、青唐を扱った論文。青唐政権は、西夏建国の頃に今の青海省西寧周辺にあったチベット族を中心とした勢力。西夏と戦争を繰り返したが、西夏、遼と婚姻関係もあった。西夏初期の西夏周辺を扱った貴重な論文で、天空のシルクロードで有名になった青海ルートを通じての西域、とくにホータンとの関係にも触れている。


党項人察罕の家系に関する一考察
 藤井彰一郎
 立命館東洋史学 第19号(立命館東洋史学会 1996年)に収録
 こちらは、タングート繋がり。チンギス・ハンに仕えたタングート族のチャガンとその家系についての論文。


西夏の末裔をたずねて
 池田巧著
 月刊しにか1999年1月号、2月号(大修館書店)に収録
 四川省の西南部に暮すという西夏の末裔ではないかと言われる人々を訪ねたことを綴ったコラム。その後彼らについての研究はどの程度進展したのだろうか。


 また、まんじゅさんから史叢67号掲載の「清初の旧漢人と八旗漢軍」の抜刷りを、あかさかさんからは「チンギス・ハン即位八百周年を迎えて、「キプチャク汗国」史研究の周辺」収録の「歴史と地理 世界史の研究209」(山川出版社)を拝領した。

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2008年3月26日

遼金西夏史研究会

 先の週末、東京郊外で二日間に渡って開かれた遼金西夏史研究会を聴講してきた。発表は下記の6件。いずれも興味深い内容だったが、西夏政治史という点で、11世紀後半、西夏が北宋にかなり押し込まれた時代について、西夏に隣接した地域の軍事体制を考察した伊藤氏の発表は特に興味を惹かれた。

曹氏帰義軍節度使系譜考---敦煌莫高窟第61窟供養人像の再検討---
 赤木 崇敏

西夏法典研究に関する諸問題---ロシア蔵カラホト出土『天盛禁令』刊本の現物調査から---
 佐藤 貴保

モンゴル・チントルゴイの契丹(遼)城址の研究
 臼杵 勲

北宋後期の西北辺地域における軍事体制
 伊藤 一馬

敦煌出土西夏語文献裏面のウイグル語占卜文書
 松井 太

金元碑刻資料と汾河流域水利史研究
 井黒 忍


<頂き物>

TANGUT DICTIONARY
E.I.クチャーノフ、荒川慎太郎 編
ISBN978-4-903875-11-8
京都大学文学部 2006.3
 西夏文字の字典。B5版で780頁という持ち帰るだけで筋肉痛になりそうな大冊。各文字とその熟語に音価、声調とロシア語、英語、漢字で意味が書かれている。荒川さんより拝領。頑張って擦切れるまで使います(見込み)。


契丹小字研究の現在
呉 英テツ(テツは〔吉吉〕)
龍谷史壇第127号 抜刷り


北東アジア中世遺跡の考古学的研究
総合研究会資料集
 昨年札幌学院大学で行われた研究会での発表10件についての資料集。


内陸アジア諸言語資料の解読によるモンゴルの都市発展と交通に関する総合研究
研究代表者 松田孝一
ニューズレター01(2007.6)
 以下の6論文を集録
 モンゴル高原における集落・都市成立史の概略(松田孝一、白石典之)
 1339年立石の漢文碑文「剏建三霊侯廟記」について---元代カラコルムにおける祠廟祭祀(中村淳)
 和寧郡忠愍公廟碑(松井太)
 ツァガーン・バイシン遺跡のモンゴル語碑文(オチル、ガントゥルガ(オユンジャルガル訳))
 モンゴル国セレンゲ県発見の漢文碑文---七世紀後半のモンゴリアにおける羈縻支配関連史料(鈴木宏節)
 タヒリン・オス遺跡最終鍛冶関連遺物の金属学的調査(大澤正己)

同ニューズレター02(2007.12)
 ハル・ブフ城址とトーラ河流域の契丹都市・集落(オチル、エンフトゥル、エルデネボルド(清水奈都紀訳))


13、14世紀東アジア諸言語資料の総合的研究---元朝史料学の構築のために(2007.3)
代表研究者 森田憲司
 以下の12論文を集録
 遼金時代の言語と法律(徳永洋介)
 元代漢語公文書(原文書)の現状と研究文献(舩田善之)
 『事林広記』「皇元朝儀之図」解説(松田孝一)
 『元史』「祭祀志」について(櫻井智美)
 何広『律解辯疑』と明初の贖罪(宮澤知之)
 折繼閔神道碑考釈稿(渡邊久)
 石刻史料よりみた元代華北の仏教統領機構について---諸路釈教都総統を中心に(桂華淳祥)
 洛陽出土「賽因赤荅忽墓誌」より(村岡倫)
 石濱文庫の拓本資料 概要とモンゴル時代石刻拓本一覧(堤一昭)
 13〜14世紀モンゴル文碑刻目録(松川節)
 北京地区現存元朝石刻目録稿補訂(森田憲司)

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2008年2月23日

神戸遠征

 桂堂徒然のhsdさんの招聘で、久しぶりに神戸まででかけた。とりあえず宴会前になにか見物ということで、UCCコーヒー博物館へ。愛飲者ではないからというだけでなく、コーヒーについては知らない事が多い。思いのほか勉強になって面白かったが、残念ながら博士までは出世できなかった。

 宴会は、三宮駅南にあるタン・カフェへ。久しぶりのベトナム料理。2000円のコースに2品追加し、ビールをおかわりしてお腹いっぱい。過度のパクチー中毒なので、無理を言って多めに添えて頂いた。やっぱりフォーにパクチーは欠かせない。

 出がけには、窓が唸るほどの大風、帰宅したら雪で真っ白だった。春はもうすぐだと思ってたのだが、最後のあがきだといいな。


 ポートライナー南公園駅から見た博物館。モスクをイメージってちょっと無理でない?


 コーヒー豆選別の説明のところに置かれた機械。これって手動式計算機?



 タン・カフェは、さんプラザの地下。


 ベトナム風お好み焼き? お好み焼きというより具入りの薄焼き。とっても美味しいかったです。


<頂き物>
 待兼山論叢 第31号/大阪大学文学部/1997年
 待兼山論叢 第32号/大阪大学文学部/1998年
 いずれもhsdさんからの頂き物、31号には松井太さんの「カラホト出土蒙漢合璧税糧納入簿断簡」、32号に森安孝夫氏の「ウイグル文契約文書補考」を集録。


<Google Map>
タン・カフェUCCコーヒー博物館

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2008年2月17日

西夏の二つの官僚集團

西夏の二つの官僚集團---十二世紀後半における官僚登用法---
 東洋史研究 第六十六巻第三號
 佐藤貴保/東洋史研究會/2007年

 佐藤さんより抜き刷りを頂戴した。ありがとうございます。

 金史に載っている西夏から金への朝貢の記録を基にした論文で、西夏の官僚制度について考察したもの。金史、宋史などの漢文資料のほか、ロシアに所蔵されているものを含む西夏語文書を駆使したかなりな力作と思う。

 漢族系とタングート族系という二つの官僚集団の存在という考察も興味深いが、文献に恵まれない西夏について、政治制度などの論文を纏めるのにどういう資料に当たればよいのかという見本としても興味深い論文。

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2007年9月29日

西夏遺跡ほか

 久しぶりに西夏語の勉強会があった。仕事の忙しさと夏の暑さを理由にHPの更新もしばらくさぼったままなので、少し新鮮な時間だった。実りの秋到来とともに、少しはエネルギーを回さねばと思ってはいるのだが。


月刊言語 10月号
ISSN 0287-1696
大修館書店 2007.10

 荒川さんから頂戴した一冊。詳しくはリンク先を参照を、10月号の特集は東アジアの文字文化。わりと面白そうな小論が並んでいるので、近々か纏めて読む予定。

 

漢蔵合璧西夏「黒水橋碑」再考
 佐藤貴保・赤木崇敏・坂尻彰宏・呉正科著

 佐藤さんより頂戴した「内陸アジア言語の研究 XXII」掲載論文の抜き刷り。3月の中央アジア学フォーラムでの発表を纏めたもの。貴重な西夏関係論文。


20世紀中国文物考古発現与研究叢書
西夏遺跡
牛達生著
ISBN978-7-5010-2004-1
文物出版社 2007.1

 東方書店のリストを見て取り寄せた一冊。表題のとおり西夏関係の遺跡などをジャンル別に紹介したもの。網羅性は判断できないがわりと広めのようだ。下記の9章よりなる。巻頭のカラー写真は8点と少ないが、本文中に34点の図版が挿入されている。

1 概述
2 西夏碑刻
3 西夏陵墓
4 西夏城址及遺址
5 西夏窰址和窖蔵
6 西夏銭幣、官印和符牌
7 西夏寺廟和古塔
8 西夏石窟
9 西夏文書

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2007年5月 5日

日向縦走

 連休を利用して九州を回ってきた。今年の流行りを追ってという意図はとくになく、九州の中で最も縁遠かった宮崎を重点に、大分から鹿児島まで車でを縦走した。宮崎県下ではほぼ必然的に城巡りになり、歴史博物館や神社、特定の人物の墓参りが附随した。

 昨日は小雨混じり、今日は大雨と後半の天気は今一つだったが、前半は夏の様な陽射しに照らされて随分日焼けしたように思う。

 個別の報告は追々として、まずは戦利品のリストを残しておく。


岡城跡と城下町竹田
歴史の道
 大分県竹田市

 

佐土原町の文化財
 佐土原町教育委員会

 

高鍋町の文化財第二集
高鍋城
 高鍋町教育委員会

 

西都原古墳群
探訪ガイド
 宮崎県立西都原考古博物館

 

城下町 飫肥ガイド
---九州の小京都---
 日南市観光協会

 

飫肥藩伊東家五万一千石の城下町
飫肥歴史紀行
 飫肥城下町保存会

 


 ここまでは、資料館、博物館で売っていた冊子。

母子節
門川一族物語
永迫弘毅 著
ISBN978-4-86061-217-7
鉱脈社 2007.3

 戦国末期から江戸初期にかけて、日向伊東家の支族、門川一族が歴史の波に翻弄されていくという小説であるようだ。既に亡くなられた著者の遺作であるという。地方出版社系の歴史モノなので小説としての善し悪しはあまり問う気はない。

 宮崎と鹿児島で地元出版社系戦国時代モノを探したのだが、意に沿ったのはこの一冊のみ。古本や版元在庫を当ればもっと出てくるのだろうが、そこまでする気はなく本屋で見つかればというところ。鹿児島中央駅の本屋の郷土本コーナーに戦国島津関係の本が一冊も無かったのはいささかショックではあった。

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2007年3月31日

中央アジア学フォーラム

 大阪大学で開かれている中央アジア学フォーラムに初めて参加してきた。過去ログを見ると、わりと自分の興味範囲に近い発表が毎回されているので、一度聞きに行きたいと思っていた。今日は、予想以上に濃い興味深い内容で充実した半日となった。


●書評
サミュエル・リュウ他著『パルミラよりザイトンへ---碑銘学と図像学---』
 向正樹(大阪大学)
 ここで紹介されている本は、オーストラリアの研究者によるシリアのパルミラと中国の泉州の碑文を研究紹介したもの。今日はその中でも向氏の専門であるモンゴル時代の泉州に関わるものを中心としたものだった。中でも興味を惹かれたのが、中央アジア出身と思われるネストリウス派キリスト教徒、あるいはマニ教徒といわれる人達の墓碑文。漢文もあるようだが、シリア文字で書かれたトルコ語文があるとのこと。また、年号の表記としてセレウコス暦(アレクサンダー大王の1624年といった表記)を使っていたとか、ネストリウス派の墓碑で神という言葉に「テングリ」が使われているとか興味深い話の連続だった。


●研究発表
契丹文字研究の現状と課題
 武内康則(京都大学)
 契丹(遼)は、遼金西夏宋の中でもっとも存在感のある国と思っているのだが、その契丹で発明された契丹文字で書かれた資料は、西夏文字、金の女真文字に比べて圧倒的に少ないらしい。纏まった文字資料は全部で50点に満たないとのこと。契丹は「遼史」という西夏にはない正史があるわけで、西夏からみると羨ましいかぎりなのだが、こと現存する一次資料についていえば、カラホト文書があるおかげで西夏の方がずっと上ということになる。そういえば、愛新覚羅氏の研究書まだ読んでなかったな・・・


アブー=ドゥラフ=ミサル=イブン=ムハルヒルの中国旅行記に見えるサンダビル
 白玉冬(大阪大学)
 このアブー=ドゥラフは、白氏によると10世紀中央アジアのサーマーン朝に仕えた人物とのこと。彼は、王の命令で10世紀の前半に中国へ使者として旅をしていて、その時の記録が残っているという話。自分にとっては、そもそもそんな人がいて、その記録が残っているというだけで驚き。残念ながら氏が利用された資料がフランス語訳を再度中国語に訳したものだったとのことで、原典が中国を何と書いているかは今日のところは分からなかった。


張掖漢蔵合璧「西夏黒水橋碑」再考
 坂尻彰宏・佐藤貴保・赤木崇敏(大阪大学)
 中国張掖に残る碑文についての発表。この碑文は西夏時代に建てられた貴重なもので、一面が漢文、一面がチベット文で書かれている。坂尻、赤木両氏は昨年実物を視察し拓本を取ってきたとのことで、今回はそれを元に文面を再検討したというもの。西夏時代の地方史という点でも興味深い。今夏には論文として纏まるらしいので楽しみに待ちたい。


ベルリンの仏教ソグド語文献について:新発見資料など
 吉田豊(京都大学)
 最近公開されたというドイツベルリン蔵のソグド語文仏教文書についての考察。これも自分にとっては未知の領域。内容の検討からサンスクリット語、トハラ語、パルティア語、ウイグル語の影響について考察されている。森安先生には、ソグド語仏典にウイグル語の奥書があったことが、大変な驚きであったようだ。帰宅してから早速ネットを覗いてみたが、そのまま一次資料として検討できる綺麗な写真にびっくり。

 →ベルリン蔵の仏教ソグド語文献が紹介されているサイト
 →トルファン文書のアーカイブ
 →今回取り上げられたソグド語文書


 次は、7月28日予定とのこと。

<2007年7月16日:一部再編集しました>

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