先の週末、東京郊外で二日間に渡って開かれた遼金西夏史研究会を聴講してきた。発表は下記の6件。いずれも興味深い内容だったが、西夏政治史という点で、11世紀後半、西夏が北宋にかなり押し込まれた時代について、西夏に隣接した地域の軍事体制を考察した伊藤氏の発表は特に興味を惹かれた。
曹氏帰義軍節度使系譜考---敦煌莫高窟第61窟供養人像の再検討---
赤木 崇敏
西夏法典研究に関する諸問題---ロシア蔵カラホト出土『天盛禁令』刊本の現物調査から---
佐藤 貴保
モンゴル・チントルゴイの契丹(遼)城址の研究
臼杵 勲
北宋後期の西北辺地域における軍事体制
伊藤 一馬
敦煌出土西夏語文献裏面のウイグル語占卜文書
松井 太
金元碑刻資料と汾河流域水利史研究
井黒 忍
<頂き物>
TANGUT DICTIONARY
E.I.クチャーノフ、荒川慎太郎 編
ISBN978-4-903875-11-8
京都大学文学部 2006.3
西夏文字の字典。B5版で780頁という持ち帰るだけで筋肉痛になりそうな大冊。各文字とその熟語に音価、声調とロシア語、英語、漢字で意味が書かれている。荒川さんより拝領。頑張って擦切れるまで使います(見込み)。
契丹小字研究の現在
呉 英テツ(テツは〔吉吉〕)
龍谷史壇第127号 抜刷り
北東アジア中世遺跡の考古学的研究
総合研究会資料集
昨年札幌学院大学で行われた研究会での発表10件についての資料集。
内陸アジア諸言語資料の解読によるモンゴルの都市発展と交通に関する総合研究
研究代表者 松田孝一
ニューズレター01(2007.6)
以下の6論文を集録
モンゴル高原における集落・都市成立史の概略(松田孝一、白石典之)
1339年立石の漢文碑文「剏建三霊侯廟記」について---元代カラコルムにおける祠廟祭祀(中村淳)
和寧郡忠愍公廟碑(松井太)
ツァガーン・バイシン遺跡のモンゴル語碑文(オチル、ガントゥルガ(オユンジャルガル訳))
モンゴル国セレンゲ県発見の漢文碑文---七世紀後半のモンゴリアにおける羈縻支配関連史料(鈴木宏節)
タヒリン・オス遺跡最終鍛冶関連遺物の金属学的調査(大澤正己)
同ニューズレター02(2007.12)
ハル・ブフ城址とトーラ河流域の契丹都市・集落(オチル、エンフトゥル、エルデネボルド(清水奈都紀訳))
13、14世紀東アジア諸言語資料の総合的研究---元朝史料学の構築のために(2007.3)
代表研究者 森田憲司
以下の12論文を集録
遼金時代の言語と法律(徳永洋介)
元代漢語公文書(原文書)の現状と研究文献(舩田善之)
『事林広記』「皇元朝儀之図」解説(松田孝一)
『元史』「祭祀志」について(櫻井智美)
何広『律解辯疑』と明初の贖罪(宮澤知之)
折繼閔神道碑考釈稿(渡邊久)
石刻史料よりみた元代華北の仏教統領機構について---諸路釈教都総統を中心に(桂華淳祥)
洛陽出土「賽因赤荅忽墓誌」より(村岡倫)
石濱文庫の拓本資料 概要とモンゴル時代石刻拓本一覧(堤一昭)
13〜14世紀モンゴル文碑刻目録(松川節)
北京地区現存元朝石刻目録稿補訂(森田憲司)
最近のコメント