2009年12月27日

図説 世界の文字とことば

図説
世界の文字とことば
町田和彦 編
ISBN978-4-309-76133-6
河出書房新社 2009.12

 久しぶりに開かれた西夏語勉強会の際、著者のひとり荒川さんより頂戴した。

 本書はじめにの10ページに「現在の文字と言語、言語と文字がめぐりあったお話」とあるように、現在使われている言語のうち、文字をもつものの中から45を選んでいる。その45言語を「ギリシア文字の系譜」「アラム文字の末裔たち」「ブラーフミー文字の子孫たち」「漢字の一族」に分類、それぞれが21、6、16、2となっている。また、この他に「西夏文字の漢字らしさ」ほか6つのコラムを収録している。

 各言語は、使用人口などに関わり無く見開き2ページの構成で、図版入りで言葉や文字が解説されている。現在とあるように、トルコ語やベトナム語なども「ギリシア文字の系譜」に入っており、またモンゴル語はキリル文字使用のモンゴル国を代表させ同様に「ギリシア文字の系譜」のくくりとなっている。各言語は、それぞれに割り当てられた50人あまりの著者によって執筆されていて、書式は統一されていないものの限られたスペースの中で特徴を紹介しようという苦心を見て取れるように思う。


 自分的には、文字も歴史のくくりで見ることが多いため、漢字圏が中国語と日本語、それに西夏文字のコラムだけというのは少し寂しい。また、上記の割合から知れるように「ギリシア文字の系譜」が半分を締めていて、日頃馴染みのないこれらの言葉について雑学的に読むには丁度良い分量と思える。一方で、「起源については、(中略)諸説ありますが」と断りながらハングルを「ブラーフミー文字の子孫たち」に入れている点、東に広まった「アラム文字の末裔たち」の生き残りのモンゴル文字をわずかな紹介に留めている点など欲求不満も残る内容ではある。

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2009年2月24日

ヴィンランド・サガ 7

アフタヌーンKC510
ヴィンランド・サガ 7
幸村誠 著
ISBN978-4-06-314544-1
講談社 2009.2

 前巻から8か月という待ち時間は少し長い。おかげで発売日に一日で遅れた(笑

 表紙にクヌートが描かれているがごとく、前巻でおびただしい死体を前に覚醒した彼がいよいよ動き出すという話。現王の実像や、アシェラッドの過去、トルフィンの再会など6巻が大量の血を伴う戦いに明け暮れたのと対照的なほどに物語が盛り沢山。

 街などの背景描写も興味深く、本巻は期待以上に面白かった。8か月後というと一応年内ではあるな・・・

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2008年12月27日

もやしもん 7巻

イブニング KC244
もやしもん 7
石川雅之 著
ISBN978-4-06-352244-0
講談社 2008.12

 菌・ウイルスのキャラクタの可愛さで認知されているマンガだが、農学部卒としては実習中心の学校生活が懐かしところ。もっとも自分はフィールドが中心だったので、やっていることは全然違うけど。

 フランスでの騒動が一段落して、発酵の話は酒類から味噌醤油が中心に。麹室や味噌玉作りなど昔アルバイトで味噌作りを手伝ってたことを思いだして、これまた懐かしい。

 連載の方は、ビールの話題に移行してる。8巻はまるまるビールの話になるだろうか。もともと蘊蓄の多い本だが、次巻は特に楽しみ。

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2008年12月23日

将国のアルタイル 3巻

シリウスKC
将国のアルタイル 3
カトウコトノ 著
ISBN978-4-06-373148-4
講談社 2008.12

 仮想のルメリアナ大陸を舞台に、主人公マフムートが属するトルコをモチーフとしたトルキエ将国と、ドイツやフランスを思わせるバルトライン帝国の興亡を描く時代マンガの3巻。マフムートは故あって国を出て旅の最中にあり、最年少将軍だった彼の成長物語的に話が進行している。

 今巻では、第三勢力として海洋都市国家群が登場し、その中のひとつでローマやコンスタンチノープルをイメージさせるポイニキアが舞台となる。マフムートが、ポイニキアとバルトラインの抗争に関わるという話。

 4か月で一巻と良いペースで進んでいる。まだまだ話はこれからという雰囲気で、壮大な大河ドラマになるのだろうか。

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2008年11月21日

チェーザレ 6巻

モーニングKCDX
チェーザレ 破壊の創造者 6
惣領冬実 著
ISBN978-4-06-375604-3
講談社 2008.11

 15世紀末、北イタリアを舞台にチェーザレ・ボルジアの青春?と活躍の物語。

 5巻での模擬戦に勝利後の後夜祭に前後して、予てからチェーザレの周囲で起きていた不穏な動きに一応の決着がつくという話。

 帯には、「過酷な宿命。されど、どこまでも華麗なる天才。」とある。本書でそういう雰囲気を臭わせながら小事が片付いたことで、次巻よりいよいよ新展開。本書で過酷な出来事が起きたというよりは、これから宿命のもとに事態が動いて行くという感じか。

 さて、これからどんな展開を見せるのかというところだが、チェーザレが大学を離れた後、順主役であるアンジェロがどう関わって行くかもちょっと楽しみ。予想に反して6巻が年内に出版されたが、連載に追いついたので次巻は半年以上先だろうか。

 巻末には、500年前のローマやピサの街並の復元についての話がつく。


 なお、公式HPには以下の様な訂正文がついている。

 『チェーザレ ~破壊の創造者~』6巻164ページ、5コマ目の台詞において、修正がございます。「一年前のことを」とある台詞を「この間の騒動を」に、「一年前?」を「騒動?」に修正させていただきたく存じます。
これは、誤字誤植の訂正というのではなく、資料調査の上での解釈の変更というもののよう。

 ところで164ページと書いてあるものの、本書は全て断ち切りで描かれていてノンブルが一切入っていないので探し辛いが、52話の頭から数えると4ページ目になる。

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2008年8月30日

8月30日購入書籍

ユーラシア考古学選書
スキタイ
騎馬遊牧国家の歴史と考古
雪嶋宏一 著
ISBN978-4-639-02036-3
雄山閣 2008.9

 漢代以前のシルクロードに続くシリーズ第4弾。あとがきによれば、本書は下記の先行著作を再編改訂したものに、近年の研究成果について書き起こしたものを加えたとのこと。スキタイものというと、林俊雄氏の著書スキタイと匈奴 遊牧の文明(講談社)が記憶にあたらしいところ。ただ、これが120ページ余なのに対し、本書は240ページ余がまるまるスキタイ。

 考古学と文献の両方からの検討ということのようだが、考古学部分を中心に図版が多く掲載されている。ぱっと見の印象として、巻末掲載の4図がなかなか良い。地図としてもいろいろ楽しませてくれそうだ。先行書のいくつかは既読だが既に忘却の彼方。面白そうなので早速といいたいところなのだが、未読の山をどうしたものか。。。


<目次>
序 古代中央ユーラシア草原の騎馬遊牧民
1 スキタイ考古学研究のあゆみ
2 スキタイ遊牧国家をめぐる議論
3 スキタイ時代の編年的枠組み
4 キンメリオイ問題
5 第一スキタイ国家:北カフカス
6 第二スキタイ国家:黒海北岸草原の支配
7 第三スキタイ国家:クリミアの小スキティア
おわりに スキタイの文化遺産


<先行著作>
サルマタイの西漸
 講座 文明と環境5 文明の危機---民族移動の世紀---(朝倉書店 1996年)収録

カマン・カレホユックの金属製鏃
 アナトリア考古学研究 カマン・カレホユック7(中近東文化センター 1998年)収録

世界の考古学6 中央ユーラシアの考古学(同成社1999年)3章2〜4章

騎馬遊牧民スキタイの王権の成立と発展
 古代王権の誕生III 中央ユーラシア・西アジア・北アフリカ編(角川書店 2003)収録

キンメリオイおよびスキタイの西アジア侵攻
 西アジア考古学4 (日本西アジア考古学会 2003年)収録

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2008年8月25日

将国のアルタイル 2巻

シリウスKC
将国のアルタイル 2
カトウコトノ 著
ISBN978-4-06-373130-9
講談社 2008.8

 トルコ・中東風のトルキエ将国とドイツ・フランス風のバルトライン帝国がせめぎ合う、仮想大陸を舞台にした物語。4月に1巻が出たばかりなので、なかなか早いペース。3巻は今冬と予告されている。

 2巻は、前巻の騒動の責任をとらされて格下げ謹慎を喰らった主人公が旅に出るという話。1巻の紹介では、主人公を「13人の軍人の一人」と紹介したがそこまで偉くはなくて、ひとつ格下の42人の将軍の一人だったとのこと。

 宗教の話が出て来るが、精霊崇拝が盛んだそうで一神教ではないそうな。いきなり戦争に突入というわけではないようで、しばらく小競り合いという様相か。話のテンポは相変わらず良い。設定を覚えるのについて行けないくらい(笑)

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2008年7月23日

チェーザレ 5巻

モーニングKCDX
チェーザレ 破壊の創造者 5
惣領冬実 著
ISBN978-4-06-375523-7
講談社 2008.7

 15世紀末、北イタリアを舞台にチェーザレ・ボルジアが活躍する?物語の第5巻。

 初めての実戦。
 最後の青春。
 帯にこのふたつの言葉が並べられている。細かく言えば、一つ目が本巻の後半、二つ目が前半に当てはめられる言葉。ただ、実戦というか学生が二手に分かれて行った実戦まがいの模擬戦なのだが。チェーザレはいまだ大学を卒業しておらず、話はあいかわらずのんびりしたペース。連載で一度読んでいるのだが、初めて読むほどに面白かった。

 巻末には、監修の原基晶氏による「ルネッサンス時代の大学生活」が載る。週刊モーニング先週号の予告どおりなら、明日発売の号から本巻の続きの連載が再開される。次巻の発売は来春?


 チェーザレ 1、2巻
 チェーザレ 3巻
 チェーザレ 4巻

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2008年6月23日

ヴィンランド・サガ 6

アフタヌーンKC510
ヴィンランド・サガ 6
幸村誠 著
ISBN978-4-06-314510-6
講談社 2008.6

 5巻発売からちょうど8か月。仕事終わりも待ち遠しく早速買ってきた。屍の山を築いて終わった前巻の話がどう収まるのかというところで、それなりの決着を見せている。

 7巻からは、新しい展開が見られることになる。8か月先というと来年2月。暑さはこれからだというのに、2月を思うのはさすがに気が早すぎるか。

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2007年11月22日

チェーザレ 4巻

モーニングKCDX
チェーザレ 破壊の創造者 4
惣領冬実 著
ISBN978-4-06-372396-0
講談社 2007.11

 15世紀末の北イタリアを舞台にチェーザレ・ボルジアを主人公とした漫画。第4巻。

 進行はのんびりしたもので急展開したりはしません。ただチェーザレの妹など身内の人間関係が紹介されたり、次の展開への種蒔きとかがあったりで、次巻あたりからそこそこ動きがありそう。

 一応チェーザレが主人公なんでしょうが、一番の脇役がなかなか良い動きで続きが楽しみ。

 巻末に佐々木毅氏の解説「マキァベェッリとチェーザレ・ボルジア」を集録。

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