図説 世界の文字とことば
図説
世界の文字とことば
町田和彦 編
ISBN978-4-309-76133-6
河出書房新社 2009.12
久しぶりに開かれた西夏語勉強会の際、著者のひとり荒川さんより頂戴した。
本書はじめにの10ページに「現在の文字と言語、言語と文字がめぐりあったお話」とあるように、現在使われている言語のうち、文字をもつものの中から45を選んでいる。その45言語を「ギリシア文字の系譜」「アラム文字の末裔たち」「ブラーフミー文字の子孫たち」「漢字の一族」に分類、それぞれが21、6、16、2となっている。また、この他に「西夏文字の漢字らしさ」ほか6つのコラムを収録している。
各言語は、使用人口などに関わり無く見開き2ページの構成で、図版入りで言葉や文字が解説されている。現在とあるように、トルコ語やベトナム語なども「ギリシア文字の系譜」に入っており、またモンゴル語はキリル文字使用のモンゴル国を代表させ同様に「ギリシア文字の系譜」のくくりとなっている。各言語は、それぞれに割り当てられた50人あまりの著者によって執筆されていて、書式は統一されていないものの限られたスペースの中で特徴を紹介しようという苦心を見て取れるように思う。
自分的には、文字も歴史のくくりで見ることが多いため、漢字圏が中国語と日本語、それに西夏文字のコラムだけというのは少し寂しい。また、上記の割合から知れるように「ギリシア文字の系譜」が半分を締めていて、日頃馴染みのないこれらの言葉について雑学的に読むには丁度良い分量と思える。一方で、「起源については、(中略)諸説ありますが」と断りながらハングルを「ブラーフミー文字の子孫たち」に入れている点、東に広まった「アラム文字の末裔たち」の生き残りのモンゴル文字をわずかな紹介に留めている点など欲求不満も残る内容ではある。
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